マガジンのカバー画像

逢坂志紀掌編集

50
筆者、逢坂志紀の掌編、短編集。
運営しているクリエイター

2019年4月の記事一覧

おんぶ

「おんぶ、しましょうか?」

 終電間際、最寄り駅のホームで、突然見知らぬ青年にそう言われた。正直、ビックリした。ただでさえ大きな私の目はパッチリと見開いた。

 確かにそれなりに酔って、新しい靴を履いているので靴擦れもしていたからはたからは見ていられない様子だっただろう。でも、だからと言って……。

 おんぶ、されてしまった。通勤用のリュックを前に背負い、私を背中に青年は階段をのぼる。男の人って

もっとみる