数字を操るアンカリング効果

クイズです。考えてみてください。

世界一高いアメリカ杉は、1200フィート(約365メートル)より高いでしょうか、低いでしょうか。



考えましたか?

では次の質問です。

世界一高いアメリカ杉の高さはどれくらいだと思いますか?



さて、今日はアメリカ杉の話をしたいわけではありません。

実は正解は400フィート手前(100メートルちょっと)くらいなのですが(多分)、この質問の平均解答は844フィートだったそうです。

さてさて、この2つの質問を少しいじって次のようにすると、平均解答はどうなるでしょうか。

・世界一高いアメリカ杉は、180フィート(約55メートル)より高いでしょうか、低いでしょうか。
・世界一高いアメリカ杉の高さはどれくらいだと思いますか?



なんと平均解答は282フィートになるのです。ずいぶん違いますよね。

アンカリング効果

人は過去の経験や直前に起こったことに大きく影響されます。

今のクイズのように、未知の数値を見積もるときに何らかの数値を示されて、それに引っ張られる現象を「アンカリング効果」といいます。

ちなみに名前の由来は、船のアンカー(錨)です。

アンカリング効果は、様々なところで利用することができますし、逆にいうと意識もしないうちに利用されていた可能性があります。もちろん偶然に起きていた可能性も。

例えば、お店にやってきたお客さんに「こちらの商品はいかがですか」とかなり高額なものを勧めます。「そんなにいいものでなくていいんです」といったお客さんの頭の中には、すでにその高額商品の値段がアンカーされています。

そこですかさず「じゃあこの商品はいかがですか」とお客さんが求めていそうなものより少しいいものをいくつか提示します。「あら、さっきのものよりこんなに安いのに、結構よさそうね」とお客さんは予算オーバーだがいいものが買えたと満足して帰っていきます…

……

こんな感じで、交渉に使えたり、寄付額を多くさせるために使ったり、相手に印象づけるために使ったりと様々なところで使うことができます。

また、知らずのうちにアンカリング効果が起き、何か買う時に損をしたり、実験結果が偏ったりすることがあります。

ですので、大事な選択をするときには、バイアスがないかどうか、アンカリング効果にはまっていないかどうかをしっかり確認することが重要ですね。

参考文献:ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか?(ダニエル・カーネマン

ps
人間の意思は結構いい加減だなぁと思う今日この頃。

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