負の感情をどう取り扱うか、それだけで人生の豊かさが決まるかもしれない。
人が多く集まる場の管理をするということは、なかなかに難しい。
特に、年齢も性別も好みもバラバラな人々が、偶然集まりそれぞれの暮らしを営むという、キャンプ場という場は、単純で平穏なようでそうでもない。
深夜にトラブルがあり、来てほしいと電話が鳴ることも多々あるのです。
いや、そんなに多くもなかったか。
ただそんな緊急事態、予期せぬ状態の時こそ、人柄がよく出るなと思うのです。人柄と、その時の精神状態が感情に現れる。
今日はそんな、自分の感情、特に負の感情との向き合い方について、自戒も込めて。
例えば夜間、キャンプに限らず楽しみにしていた旅行先での出来事。偶然近くにいた旅行者が、飲み過ぎたようで騒いでしまっている。どうやら自分でもコントロールが効かないくらいに。静かにして欲しいのに、うるさい。それに知らない人だし、こちらには小さいこどももいるし、もしもなにか危害を加えられたとしたら…
あるある、とまではいかなくとも、こんなシュチュエーションを見聞きしたことはあるのではないでしょうか。もしも自分が、家族連れでこの場に出会したとしたら、どんな感情を抱きますか?
不安、戸惑い、恐怖、怒り、ドキドキ、それとも興味やワクワク?
こういう場合、関係者が多くなればなるほど、関わる感情も増えていくので複雑になるもので。例えば自分一人なら、ちょっと関わりたくないし、知らんぷりしとこ。ちょっと怖いし。みたいな気持ちになるとしても、こどもが怖がっているとしたら、守る立場としては怒りが沸いてくる。なんてこともあると思います。
なんにせよ、ネガティブな空気の場面に出会ってしまった場合、大なり小なり心の中に棘のようなものが刺さってしまう。そこから恐怖が膨らんだり、怒りが沸き上がったり、両方だったり。
しかしそれらは生物として正常な反応のようで。恐怖や怒りは「危険に晒された」という意識に対する反応だという。つまり恐怖や怒りを一切感じない、ということは危険を認知できないということだ。そういえば、何かの漫画でそんなキャラがいたような。
話は戻って、恐怖や怒りといった、いわゆる”負の感情”、これは簡単に否定できるものではない。誰だって感じ得るものだし、自分を守るための本能でもあるから。「そんなことで怒るなよ」と思うことがあるとしても、相手は何かに反応して怒っているのだから、勝手に否定すべきものではない。目の前で起きた出来事に対してだけではなく、今までの積み重ねから怒りが生じる場合だってある。あるいはその時の体調が悪く、許容できる範囲が狭まっているとか、とにかく、いろんな理由があって沸き上がった感情なのだ。
ではそんな感情を、どう取り扱うか。
これは感情を抱いた本人と、それを受け取る相手がそれぞれどうするかに分けて考えるのが良さそうだ。
感情を抱いた本人は、落ち着けるなら落ち着くのがおそらくベスト。でもそれができれば生きることはそんなに難しくない。わたしだって、そうしたい訳ではなくともつい意地を張ってしまったり、声や態度に怒りが現れたりすることがある。アンガーマネジメントという言葉があるほど、感情を抱いている側がコントロールするのには技術が要るわけだ。学びながら、自分が落ち着ける術を身につけるしかない。
では、本人が難しいのなら、受け手側がコントロールしてみるのはどうか。
例えば、近しい相手ではない人からの怒りや恐怖を受け取った場合。SNSならブロックすればいいし、旅先ならそっとスルー。自分も相手も、それ以上大きな感情にさせないようにする。どうしても無視できない性分の場合は、その場を治めるスキルを身につけてはどうでしょう。
近しい相手の場合、なかなか無視するわけにはいかない。それどころか、できることならなんとかしてあげたいと思うのが人情で。だからまずは、相手からの負の感情を受けて心がチクリとした場合、一旦その痛みは忘れてみる。そして相手が晒されているであろう「危険」を取り除けるかを探ってみる。なるべく相手をそれ以上傷つけてしまわないよう、すべてのコミュニケーションに気をつけながら、それを相手に悟られず。
…なんて書きながら、ほんと難しい作業だなぁと途方にくれる。現実にそんな上手くいくことは滅多になく、互いに傷つきながら、どこかに折り合いを見つけては危険が去っていくのを感じて安堵するのだ。そうやって近づいたり離れたりしながら、仲良くなったり、ならなかったりする。
ここまで何か期待を持って読んでいただいた方、申し訳ないですが負の感情を取り扱う方法論が書いてあるわけじゃないんです。
ただ、自分が負の感情を抱いた時には、なるべく周りにぶつけることがなく、周りにいてくれる人が抱いてしまった時には、なるべくその根元にある危険を取り除いてあげられる人であれたらと、そう願うための文章なのでした。
そのためには、結局のところ技術を学ぶことと磨くことが大切で。
明日からもまた頑張っていきましょう。
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