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温かい思いが宿るもの
帰り際、空は暗くなって生徒もほとんど帰ったであろう時間にカーン、カーンと打撃音が聞こえてきました。
試合を間近に控えた野球部の部員たちがまだ練習していました。
厳密にいえば、下校時間が過ぎていて、早く帰らなければならない時間だったと思います。でも、そこまでの思いはどこか嬉しく、応援したい気持ちを掻き立てられます。
以前は…もう何十年も前のようですが、宿直という警備員さんがいらっしゃって、静まり返る学校を警備してくれる方がいらっしゃいました。おそらく、定期的に巡回をして異常がないかをチェックしてくれていたんだと思います。
そんな警備員さんがいらっしゃると残っているのがバレて、こっぴどく叱られたなんてエピソードを聞いたことがあります。
でも、SECOMとかALSOKとか今は機械警備の時代で宿直を雇っているのは島嶼くらいでしょうか。機械が警備できるのは基本は建物の中です。だから、たてもののそとであればバレないといったところ。
警備と言いながら、何を守っているのか。建物を守っているのかと、どこか機械ならでは冷たさを感じてしまいます。
警備員さんと野球部の話には続きがあるようで…
警備員「早く帰れ!何時だと思ってるんだ!」
生徒「すみません!帰ります!…」
続けて生徒「あの…もう少しだけお願いできませんか?」
警備員「…何言ってんだ!時間だろうが!…このバカモノ!」
続けて警備員「…あと少しだけだぞ。」
なんてやり取りもあったり、
警備員「早く帰れ!何時だと思ってるんだ!」
生徒「すみません!急いで帰ります!」
10分後…学校に再び侵入して…練習再開。
警備員は見つけるも、少しだけ許してやるかと目をつぶってくれたり、そんなことがあったそうです。
人の温かみとか野球部の思いとそれを支える方の思いが伝わってきます。
そして、こういうことがちゃんと後世に伝わって欲しいなと思います。
今年度で職場が変わります。
何か最後残しておくべきことはないかなとか引き継ぎは…と考えますが、どれも次の方がやりやすいようにと思う一方で、残しておくべきことがひとつだけありました。
それは、「これまでに残されてきたそれぞれの温かい思い」だと思いました。卒業生たちに連絡をとって、メッセージをもらうとどこか似ているところがあって笑ってしまいました。
思いがちゃんと後ろに伝わっているんだなということです。
先生が変わるってどこか大きなように感じますが、そんな思いが近くにあるとすれば、それは大きなことでもないような気がします。
卒業生たちの熱いメッセージとともに、その思い出し装置を残して、お別れを告げようと思います。