新型コロナウィルスワクチン義務化について
1/14日
本日は、ワクチン義務化すべきかについての議論を紹介しようと思います。
その背景としては、ワクチンを義務化することによって集団免疫が期待できるからです。
集団免疫とは、ある感染症の拡大を止めるための免疫を、人々が十分な人数持っていることを指します(私も理系ではないので、そこまで詳しくはわかりませぬ)。
つまり、この集団免疫のためにワクチンを義務化するかどうかという議論が生じでくるわけです。
ここで賛成論と反対論を見ていきましょう。
①賛成論
まず賛成論をとる場合、ワクチンを接種しなかった人は何らかの罰則を与えられることになります。あるいは、行動の自由が制限されたりするかもしれません。
このような立場の人は、以下のような原理を後ろ盾にします。すなわち、ある個人が他者に危害を加えるのを防ぐための負担が、その個人にとって小さく、それにより大きな危害が防げるのであれば、義務化する倫理的な根拠が強くなる、というものです。簡単にいうと、他人を殴るのってよくないですよね。それに、他人を殴らないことで我々苦しまないですよね。だから、他人を殴るべきでないっていう倫理的根拠は強いってことです。
ワクチンもこの原理に当てはめると、注射を打つというだけで感染拡大という大きな危害を防ぐことができるわけです。事実、ファイザー社のワクチンは90%-95%の有効性があるそうです。さらに、このワクチンを打つコストというのは、それほど高くありません。
同じ義務化でも、ロックダウンはかなり大きなコストです。社会的にも個人的にも大きなコストになります。ロックダウンを認める一方で、それよりもコストの小さいワクチン接種を義務化しないのは、一貫性に欠けます。
あるいは、代替案としてワクチンを接種するように人々に呼びかけるというがあります。しかしながら、かりに呼びかけにより集団免疫を獲得したとしても、ある一定期間をすぎると失われてしまうという可能性もあります。ようするに、義務化した方が感染拡大を回避するためにも、収束させるためにも最善であるということになります。
②反対論
反対論者はまず、ワクチンの義務化という政策が必ずしもその接種率を増やすわけではないと主張します。事実、新型コロナが発生する前に、ある病気に対するワクチンを義務化した国では、そうしなかった国よりも接種率が低かったことが認められています。
あるいは、ワクチンの義務化というのは感染力が高く致死率の高い感染症には認められるが、COVID-19はそうではないと主張することもできるでしょう。実際、英国公衆衛生庁は相対的な致死率の低さから、COVID-19を個人に大きな被害をもたらす感染症に分類していません。
COVID-19は年齢と大きくかかわっているという報告もあります。たとえば、80歳以上の感染者の致死率は7.8%なのに対し、子供の致死率は0.0016%です。したがって、若くて健康的な市民にまでワクチンを義務化するのはおかしいという議論があります。
また、そもそもワクチンの有効性は保証されているのかという問題があります。ワクチンの臨床試験や製剤過程はいまだに精査されていません。そのため、どれだけの期間免疫を獲得できるのか、どれだけ安全なのかについてはいまだによくわかっていません。
違う角度からの反対論もあります。世界中にはおよそ5800万人のアンチバクサーと呼ばれる、ワクチン反対論者がいます。このような人々はマイノリティではあるものの、極端にワクチンを打たれたくない人々として、コミュニティを形成しています。このような人々は、専門家や工業製品、あるいは政府を嫌います。つまり、政府がワクチンを義務化することは、このような人々からの揺るぎない抵抗を受けることにとどまらず、アンチバクサーになる人々を増やすことになるかもしれません。
みたいな議論があるようです。まぁ、義務化するかどうかは結局ワクチンの安全性とか有効性のリスク・ベネフィットの問題のような気がするから、それ以外の議論はどれぐらい重要なのかなと思いますね。どうなんでしょう。
今回参考にしたのは、”Cross post: Pandemic Ethics: Should COVID-19 Vaccines Be mandatory? Two Experts Discuss”という記事です。以下URLです。<http://blog.practicalethics.ox.ac.uk/2020/11/cross-post-pandemic-ethics-should-covid-19-vaccines-be-mandatory-two-experts-discuss/>