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子供を残して入院出来ない!

最初に、本文とは関係ないですが直近の情報を。今週は都内で1日5000人以上の新規感染者を出した頃に感染した患者さんが、そろそろ中等症以上となり入院が必要になる…そんな覚悟で仕事に臨みましたが、1~2週間前と比べると今週は随分と入院調整はスムーズでした。

ひとつは都と厚労省が都内の全病院に新型コロナウイルス感染症の患者さんを受け入れるよう、かなり強い要請を出したことも関係があると思います。

こんなことが出来るならもっと早くやれ、という声もありますが、これは本文中にもあるように、「通常医療の制限なども視野に入れている」のは明らかです。

実際、私のクリニックの近隣の病院も次々に外来・病棟・手術の制限を行うと報告して来ています。呼吸器内科の外来が完全にストップした病院もあります。

本当は新型コロナウイルス感染の患者さん受け入れの影で、目立たないですが他の病気の患者さんの手術や治療が犠牲になっていることは知って頂く必要があると思います。

さて、ここからが本題です。今日の記事は4分くらいで読めます。

入院さえ出来れば…。

現在新型コロナウイルス感染症に罹患し症状が重くなるのは主に40~50代、それ以下のワクチンを接種していない人たちばかりです。第一波、二波の頃の高齢者と異なり基礎体力があり合併症が少ない。そして治療が確立してきたこともあり、入院が出来れば殆どの患者さんが助かる状況になっています。

とは言え、全世界で新型コロナウイルス感染症の治療薬が使われ過ぎて在庫が少なくなっているという話もあります。少ないとは言え後で紹介する記事のように子どもを残して亡くなる方もいらっしゃるので、あまり楽観し過ぎるのも良くないかもしれません。

少なくともこれまで、新型コロナウイルス感染症で「入院したくない」という人には会ったことはありません。咳、高熱、全身のだるさ、吐き気、下痢、めまいなどつらい症状が続き、息苦しさを感じる人が多いです。

特に息苦しさは「死」を連想します。ご存じの通り、実際に呼吸状態が悪化し亡くなる方もいます。相当不安も強いと思います。皆さんなるべく早く入院をしたいとおっしゃいます。

しかし、入院出来ない人がいます。子供を持つ親、親や配偶者を介護している人、ペットを飼っている人などです。今日は主に片親の家庭で親が発症、お子さんも濃厚接触者または発症のケースを考えてみたいと思います。

子供を置いて入院は難しい

Aさんは50代女性。夫は海外単身赴任ですぐには帰れない。1週間ほど前から高熱、ひどい咳と呼吸が苦しいとのことで往診の依頼あり。パルスオキシメーターは90%を示し、呼吸も30回を越えている。食事もずっと摂れていない。入院を勧めるが、中学生の息子(元気だがPCR陽性)をみてくれる人がいないので、入院出来ない…。

呼吸数は、パルスオキシメーターの数字(SpO2)と同じくらい重要です。正常な呼吸数は12~20回/分。30回は明らかに異常で、どうにか酸素を取り入れようとする身体の反応です。同じSpO2でも呼吸数が正常かどうかで話は随分と変わって来ます。

親は二人いるわけですが、上記のように単身赴任や、もともと片親の場合、既にどちらかが入院している場合などもあります。

たとえばデルタ株ではワクチンを接種していない50代が、入院を要する「中等症以上」になる確率は4人に一人です。一緒にいれば両親共に発症しているのが普通ですし、どちらかが入院を要する状況になる確率は5割ということです。自宅に残った親の不安とプレッシャーは相当大きいです。

子供が小さい場合はもちろん、高校生などある程度大きい場合も、子供も濃厚接触者や陽性だったりするので、親の入院中に症状が出たり重くなるリスクもないとは言えません。ですから子供を残しての入院はなかなか出来ないのです。

親の症状が重くなり入院が必要になると、親の親(子供からみて祖父母)が感染覚悟で子供たちを看ることが多いです。元気な親がいることが前提ですが…。あるいは既に身内に感染して治った人がいる場合はその人に預けるというケースもありました。

また、お子さんが中学生くらいになれば親は入院、お子さんは療養施設(ホテル)で過ごす、ということも出来るかもしれません。上記Aさんはこの方法を選ぶことになりました。

ホテルには必ず医療者もいますので健康観察もしてもらえます。ただ、それでも女の子では特に心配ではあると思いますが…。

子供や被介護者の宿泊場所を作るべき

患者さんの療養場所、入院先はだんだん充実して来ていますが、陽性・濃厚接触者のお子さんや要介護者が過ごすための場所がなぜか殆ど用意されていません。

お子さんのためにも、親が安心して入院出来る仕組みを、すぐにでも考えるべきではないでしょうか?

数少ない取り組みとして、以下の記事にあるように港区はPCR陰性だった子供を、区が借り上げたホテルで見守る仕組みを作っているようです。ただ、陽性者のお子さんこそ見守りが必要ですし、本当に早急に検討していただきたいです。

まとめ

親が入院すると子供が家に残されてしまうケースでは、親が入院出来ず症状がどんどん重くなるケースが少なからずあります。重くなると命が助かっても後遺症がひどく働けなくなってしまう可能性もあるかもしれません。

私の個人的な考えではこのような状況を避けるため、親もお子さんも可能な限りワクチン接種をお勧めします。

それが難しいなら、最悪を想定して親族や信頼出来る人にお子さんを預かって頂くなどの方法を考えて頂いたほうが良いと思います。なるべく早期に入院した方が明らかに入院期間も短いです。

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