【新刊】『人形歌集 羽あるいは骨』 川野芽生／中川多理
『人形歌集 羽あるいは骨』ができるまで
まさに企画が生まれた瞬間のお話です。
こちらもぜひご覧ください。
僕は、川野芽生に、「世界は言葉でできている…人形も歌にして詠めたりするのでしょうか？」とその秘密と微妙な立ち位置を感じ取りたくて聞いてみた
川野芽生『かわいいピンクの竜になる』
川野芽生さんから初のエッセイ集『かわいいピンクの竜になる』を御恵贈いただきました。左右社さんでのweb連載を楽しみに拝読していたのですが、この度一冊の本に纏まったとのこと。おめでとうございます！（現在＃1のみ無料公開されています。）
＃3章「人形は頷かない」でパラボリカ・ビスの個展に足を運んでくれていたエピソードが書かれています。夜想…人形…山尾悠子さん、と川野さんとはどこかで地続きに繋がっている様な、正しく直系！という安心感と親和性を感じています。
人形は違う。人形は頷かない。人形の意志に人間はアクセスできない。
（中略）
どんなにぼろぼろになっても、人形の魂は汚れない。
川野芽生という作家に触れると同時に、人形に相対する鋭い感覚に触れることもできます。人形ファンの皆様にもおすすめの一冊です。
『人形歌集 羽あるいは骨』
「川野芽生さんにお人形の歌を詠んでもらう」
「１体１体全てに」
「今度の個展（廃鳥庭園）で冊子にするよ」
そんな話を夜想の今野さんから伺っていました。
「お土産的な冊子かな？良いなー」と呑気にしていたら、あれよあれよという間に素晴らしい本（冊子？とは…？？？）が出来上がっていきました。
この編集の時のミルキィ・イソベさんが凄かった。いつも凄いのですが、まるで鬼神のよう。この短期間でハイクオリティな歌をあげてくる川野さんのスピード感も目を見張るものがありました。レベルの高いお仕事をされる方々と御一緒するといつも思うのですが、高次元でみるみる組み上がっていく形を目の当たりにして、時間をかければいいってものじゃないなと。地力があるから出来ることですが。
（この間、某所🦋で川野さんとチーム・スピーディを結成していました 笑。人形はどうしても一番時間がかかってしまうので、食いついていくのに精一杯ではありますが。こういったお仕事に関わらせて頂けて本当に幸せなことだと思います。）
＋
わたしのからだは何でできてる やはらかいところとかたいところと、それから
〈歌〉は身体にすんなり入るものと「何か…よくわかんないな」というものが顕著なので、それほど沢山触れてきた訳ではないのですが、昨年の読書で何冊か素敵な歌集に出会えていたのと、自分の人形のことが詠まれているので、川野さんの歌はするすると入ってきました。
川野さんの視点で詠んだ川野さんの作品〈歌〉なので、人形の解説や説明では無いのです。こういった切り口の本が有り得るんだ、と新鮮な気持ちで驚いています。対象となったお人形は、既に生まれてきたもの、過去作が歌われたものになりますが、新しい切り込みというか、「あなたにはそんな貌もあったのね」という人形達が再生するような、新たな魅力を見つけて貰ったような、不思議な感覚でした。
タイトルが表しているように、一貫して「鳥と骨」がテーマとなっています。
私が「こう思った」というところが川野さんの解説を伺うと「そう来たか！」というような所もあって面白いです。蛇足なのかもしれないけれど、川野さんの解説はどこかで披露して頂きたいなと密かに思っています。
全体を貫く情景があり、鳥〈魂〉の飛んでいくさまが健やかで清々しいと感じました。お気に入りの歌は沢山あるのですが、ここでは仕舞っておきますね。皆さまもぜひお気に入りの一首を見つけてください。
＋
ミルキィさんの造本が素晴らしく、帯も素敵。帯まで含めてかっこいい装幀となっています。
今野さん（夜想編集長というと通りが良いので、折に触れその肩書きで紹介してしまっていますが、現在編集長を降りていらっしゃいます）久々の編集ということで、力の入った本が生まれました。本って凄いな、こんなことも出来るんだな、と思える宝物の様な一冊となりました。ありがとうございました。
始まりが「冊子を作る」というお話だったので、実は部数的に結構な希少本になります。欲しい方、気になる方は確実に入手して頂きたいです。
🌟一番確実なのが開催中の中川多理展「廃鳥庭園〜Le Jardin abandonné」1/11〜15展覧会場での先行販売。※パラボリカ・ビスオンラインショップ、一般書店は1/15頃から、Amazonなどネット書店は1/29頃からの発売になります。
🌟版元通販が始まりました。サイン本もこちらから。
🌟PASSAGEにもサイン本を卸しています。
🌟出版社HPによる詳細。
🌟展覧会詳細・御予約はこちら。
🌟ラスト5日間、皆様の御来場をお人形たちと共にお待ちしております！
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