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悪用厳禁!?神ドラマ『地面師たち』の名言・視点21選

お金とは何か?成功とは?信じるとは?

Netflixドラマ『地面師たち』は、不動産詐欺を行う地面師グループと、騙される人たちの物語。

実際に積水ハウスが55億円の詐欺被害にあった事件をもとにしているのも驚き。2017年って、割と最近の話である。

ただの犯罪ドラマと侮るなかれ、私たちの心を揺さぶるメッセージが詰まっている。

そんな中でも地面師の「視点」に注目。心に残る「名言」を厳選して紹介する。
あの興奮、再び。

noteはもちろん、アート巡りYoutube、毎日アート投稿のインスタもフォローして、様々な「視点」を楽しんでほしい。


「もうええでしょう」

商談などで、詐欺がバレないよう早く切り上げたいシーンで、地面師の後藤(ピエール瀧)の言う名ゼリフ。ネットでも話題となった。

ミーティングが無意味に長引くとき、言いたいものだ。

「何か困ったことがあったら、連絡してください」

初対面のたくみ(綾野剛)に「こいつは使える」と感じた地面師グループのリーダー、ハリソン山中(豊川悦司)が言う言葉。

困ったとき、人は誰かに頼りたい、すがりたいものだ。そしてたくみは近々困りそうだった。ハリソン山中はそれを見抜いた。

本当に困ったときに助けてくれる人こそ、信用できる、大切な人だ。…と、人は思うはずだ。

上司から「何か困ったら言ってね」と頻繁に言われるのは、部下にとって安心だろう。親や先生、パートナーや友達など、そんなふうに思ってくれる人の存在は、人間にとって生きる救いだ。

「アドリブで」

ハリソン山中が何度も言うセリフ。緻密な計画・訓練後の犯行とはいえ、何が起こるか分からない。もしも、のときのアドリブが重要なのだ。

我々の仕事や人生でも、全てが計画通りなんてことはない。アドリブに、その人の真価が問われるのだ。
指示通り・計画通り動くだけなら、ロボットやAIのほうが能力が高い。

「何かを得るには、何かを失うのが常」

ハリソン山中の言葉。「そうだよな」と思ってしまいそうだがしかし、本当だろうか?

地面師の言葉をいつも鵜呑みにしてはいけない。
あなたがもし、いつもそれらしい言葉をすぐ信じてしまうのなら危険だ。疑ってみるのも大切である。

確かに、何か得るには「多少」何か失うかもしれない。しかし「自ら」「大きなもの」を失うか、「結果的に」「小さなもの」を失うか。そこには大きな違いがある。

「何かを得るには、何かを失うのが常」について、あなたはどう思う?

「土地が人を狂わせる」

ハリソン山中の言葉。歴史を振り返れば、土地の奪い合いだと。
戦争もそうだし、「土地」を広義に捉えて「領域」と考えれば、ビジネスでの勢力争い、あるいは社内政治も同じかもしれない。

人はなぜ奪い合うのか。奪い合うしかないのだろうか?

地面師たちだけではない。ドラマに出てくる被害者たちも、土地や何かを奪おうとしている。

あなたは誰から、何を奪おうとしているだろう?

「わかりました」

自分の取り分を増やせと怒鳴りちらす仲間に対し、ボスのハリソン山中がひるまず静かに言う言葉。
ハリソンは、声を荒らげない。

理不尽も想定外も、いったん冷静に受け止める。それで場をおさめるのだ。しかしその後、どうするかは…。

「つまらないじゃないですか。誰でもやれることをちまちまやっていても」

地面師グループが100億円規模の不動産を狙うきっかけとなる、ハリソン山中の言葉。
「もっと、大きな山を狙いませんか」と言った後だ。さらにこう続く。

「小さな山よりは大きな山、たやすい山よりは困難な山。誰もが怖気づいて二の足を踏むような、難攻不落な山を落としてこそ、どんな快楽も及ばない、セックスよりもドラッグよりも気持ちのいい、エクスタシーとスリルを味わえる。みなさんも、それを求めてこの仕事をしているんじゃないですか?」

ハリソンの「仕事」は、金のためじゃなさそうだ。
一方、我々は何のために仕事をしているだろうか?

「面白いですね。ターゲットは大きければ大きいほど狙いやすい」

地面師グループでミーティング中、超大手企業・石洋(セキヨウ)ハウスの案件を知り、ひるむ仲間に対してハリソン山中が言う言葉。

後藤から「ハンティングちゃうねんで?」とツッコまれるも、「同じですよ。大きいエサと大きい罠には、大きい獲物がかかってきます」と返す。

これをキッカケに、100億円規模の詐欺が始まる。原動力は先の「エクスタシーとスリル」かもしれない。

あなたは仕事や人生で、どんな規模のターゲットを狙っているだろうか?

「私が信用しているのは、あなただけです」

「たくみさん、彼らには油断しないでくださいね。私が信用しているのは、地面師として1から育て上げた、あなただけです」

ハリソン山中の言葉。「仲間の中でもあなただけを信用している」、そう言っているのだ。
あなたがもし、近しい人からそう言われたら、どうだろう?

「たくみさんとなら楽しめる。そんな気がしています」

山で猟銃を使ってハンティング中、ハリソン山中がたくみに言うセリフ。

ハリソン山中「つまらないですか?私はつまらないです。まるで、殺されて私達に食われるのが分かっていたかのようでした。前回の仕事もそうでした。自分から騙されに来たような、つまらない獲物でした」
たくみ「どうすれば楽しめますか?」
ハリソン山中「わかりません。でも…、たくみさんとなら楽しめる。そんな気がしています」

「仕事が早いあなたが必要」とか「素直に言うことを聞くあなたが必要」というのではない。
人の「存在」自体を肯定する言葉なのだ。あなたの存在が必要だ、と言っているのである。

自分が生きているのか死んでいるのか、その存在意義が分からなくなっているたくみにとって、心を掴まれる言葉だっただろう。

あなたは身近な人の「言動」ではなく「存在」を肯定しているだろうか?

「そんなときに、たくみさんに会って。この人だったら信用できると」

たくみと父親を騙した、地面師のセリフ。
偶然、そして信用を感じさせる言葉だ。

まず、人は「偶然」に対し、運命を感じて心が動きやすい。
昔、ある女性タレントが男芸人とのお付き合いのキッカケを「何度も偶然、街で会ったんです」と言っていた。あれはきっと、芸人が偶然を何度も装った策略だろうと、私は邪推している。
偶然とは女性にとってパワフルで、このカップルは結婚した。2年後、離婚したが。
地面師も、「偶然」「運命」を利用する。

そしてもう1つ。この地面師は、信用されるためにまず自分から、あなたを信用していると伝えている。

返報性の法則をご存知だろうか?優秀なビジネスパーソンは全員読んでいるであろう名著『影響力の武器』にあるもので、人は自分にしてもらったことに対して、お返しをしたいと感じる傾向のことだ。

つまり、相手を信用していると伝えることで、相手も同じように信用で返そうとする可能性が高まるのである。

偶然を装うこと、そしてまず自分から信用を伝えること。あなたも知らぬまに誰かからされているテクニックかもしれない。

「石洋社員のようなエリートは、権威に弱いですからね」

後藤「夫が自民党議員らしいで」
たくみ「使えそうですね」
ハリソン山中「石洋社員のようなエリートは、会社は、権威に弱いですからね」

エリートだけじゃない。人は権威に弱い。よくわからない人に対し、権威を「客観的な信用の根拠」としてしまうのだろう。

地面師は、信用させるために権威を利用する。しかし犯罪以外でも、これはよくある話だ。

大企業や有名大学出身の男性なら、合コンでそれをアピールするかもしれない。
ビジネスでも、大手との取引があるとか、メディアに掲載されたなどの権威がよく利用される。

「社長」は何だかすごそうだが、大企業の社長もいれば、社員は自分だけの社長もいるし、大企業の社長が犯罪を犯すこともある。
政治家も、警察官も医者も教師も人間だ。良い人も悪い人も、優秀な人もそうでない人もいる。

「本を出版しました」という権威も何だか凄そうに思えるが、実際は自費出版や電子書籍なら誰でも本を出せるのである。
有名雑誌に載りました!もよく見かけるが、お金を払って掲載した広告な場合もある。

信用してもらうために、権威は便利だ。逆に言えば、権威にだまされないよう気をつけたい。権威ある怪しい人も多いのだ。

「そのかわり、ちょっとお願いしたいことがありまして」

たくみがNo.1ホストの弱みにつけこみ、黙っていてやるから代わりに言うことを聞けと脅すセリフ。

相手の弱みに付け込むというのは、実はビジネスの常套手段かもしれない。
お腹が空く人間に食料を売るとか、病気の人に薬を売るのもまぁ、人助けという名のもとに弱みに付け込む行為と言える。
相手の困りごとを見つけ、解決してあげる代わりにお金をもらうということだ。

目の下のクマが気になる私は最近、それを少し検索した。するとその後、Webを見るたびに関連広告だらけだ。手術しろ、クマ取りシートを買えと、広告が弱みに付け込んでくる。

人の困りごとを見つければ、ビジネスになる。
ただドラマでは、弱みに付け込まれたホストが地面師に抵抗できず利用され、悲劇へ向かう。

「最もフィジカルで、最もプリミティブで、そして最もフェティッシュなやり方でいかせていただきます」

大きな「仕事」を邪魔する男に対し、ハリソン山中が放った言葉。
他にも人を殺してきたハリソンだが、このときの方法はあまりにも残虐だった…。

フィジカル: 肉体的なさま。
プリミティブ: 原始的。
フェティッシュ: 異常に執着・愛好する態度。

一言で言えば、とても「動物的」に思える。野生的というか。

現代人は、ネットで海外の風景を見て行った気になり、炎上が怖くて言いたいことも言えず、自分が食べる肉や野菜の元々の姿を見ることがなかったりする。

ときに、「最もフィジカルで、最もプリミティブで、そして最もフェティッシュなやり方で」いっても良いのではないだろうか?

「…と説明していたのに、実際は…」

映画「ダイ・ハード」について、たくみに話すハリソン山中の言葉。
俳優が10数メートル落ちるシーンを撮影する際の、スタッフと俳優のやりとりを説明する。

「スタッフが、3、2、1、Go!で手をはなすと説明していたのに、実際は、3、2、1で手をはなした。だからあの驚嘆と恐怖がミックスした、リアルで素晴らしい表情が撮れたんです」

人殺しや、人の怯える表情にエクスタシーを感じるハリソン山中は、その後…。

Youtubeのドッキリ企画を見ても、人は想定外のときに心が大きく動く。誕生日にサプライズするのも同じ。
「想定外」が、人の心を動かすのである。

地面師じゃない我々も、「想定外をつくる」ことで人の心を動かせるかもしれない。

「車に轢かれて…」

土地所有者のなりすまし役を探す、地面師レイコ(小池栄子)の言葉。
旅館でワケあり清掃員に、自分の子供が車に轢かれて亡くなったと嘘をつく。なぜか。

相手に近づくためだ。
まず自分から心を開く。それで相手の心を開き、相手の話を聞き出すのだ。

あなたは誰の心を開きたいだろうか?
あなたはその人に心を開いただろうか?

「少し待たせましょう。主導権はこちらにあるんですから、じらすくらいがちょうどいい」

石洋ハウスとの商談に向かう前、時間ギリギリなのにカフェに寄ったたくみの言葉。
これに後藤からは「たくみ君も、ハリソンに似てきたな」とツッコまれる。

相手を「じらす」。自分が優位な立場の場合、恋愛でもビジネスでも意外によく使われることかもしれない。

「自殺するんです、下村さんは」

刑事・下村辰夫を拉致したハリソン山中が、下村に言うセリフ。
ハリソンに撃たれると覚悟した下村に、こう言うのだ。

「あそこから飛び降りるんですよ。自殺するんです、下村さんは」
あなたは殺されるのではない、自殺するのだと。
ビルから飛び降りて自殺しなければ、家族が殺されると脅されるのだ。

脅しは良くないが、解釈を飛躍させれば「相手が自発的にやる状況を作る」とも言える。

私は子供の頃から読書が大好きだったが、「本を読め」と親から言われたことはない。家に本がいっぱいあり、親が読書しているのをいつも見ていたから、自然と真似したのだと思う。

あなたが動かしたい人は、どうすれば自発的に動くだろうか?
…脅す、以外の方法で。

「選択肢は1つしかありません」

上と同じシーンで、ハリソン山中が刑事に言うセリフ。
つまり「おまえは飛び降り自殺するしかない」と言っているのだ。

重要なのは言葉ではなく、「選択肢は1つしかない」と相手に思わせていること。言葉は最後のひと押しにすぎない。

このドラマ『地面師たち』はNetflix独占配信だ。つまり選択肢は1つ、見たければNetflixに契約するしかない。

相手に「選択肢は1つしかない」と思わせる。これは、ビジネスや恋愛など、我々にも必要なシーンがあるかもしれない。

「こっちは、早く決めてくれたとこと契約したいんですが」

商談で、地面師・後藤が石洋ハウス側に決断を迫る言葉。

FOMO(Fear of Missing Out)という言葉がある。人は失うことに恐怖を感じるのだ。

希少性の原理とも言える。限られたものに価値を感じる心理である。例えば「在庫が少ない」「期間限定」といったフレーズに、つい財布が緩んだことはないだろうか。

あるいは競争の原理も働いている。人は競争状況において、より行動を起こしやすくなる心理的な傾向がある。

昔、もう売られていない(希少性)古いバンドの楽譜を、ヤフオク(競争)で売ったところ、定価1,900円程度のものが15,000円まで上がり、驚いたことがある。

相手に決断を迫るときに「希少性」「競争」が使える。
しかし逆に、それに振り回されないようにしたい。ドラマではそれらによって正常な判断力を失った石洋ハウスが、100億円も騙し取られてしまったのだ。

「ぶっ壊しちまえばいいんだよ、古いもんは全部!」

あえてここで、地面師ではなく騙された側の石洋ハウス・青柳の言葉を紹介する。どうしても土地を手に入れ、古い建物を壊して新ビルを建てたい青柳が怒鳴り散らすシーンだ。

私たちは常に新しい瞬間を生きている。何かを壊さなければ、新しいものは生まれない。東京の街の、スクラップ・アンド・ビルドのように。

とはいえ、何のために壊すのかが重要だ。青柳の言葉はあまりにも自己中心的。そして結果、彼自身が壊れることになる。

「ええシャブでも仕入れたんかいな」

最後は、おまけ。
後藤(ピエール瀧)が地面師グループのメンバーに言う言葉だ。

現実にコカイン使用で逮捕された経験のあるピエール瀧にこのセリフを言わせるなんて、監督による「ピエール瀧いじり」ユーモアか?
それともピエール瀧によるアドリブか?

あなたの印象に残った名セリフは?

他にも色々あるが、このくらいにしておく。
ぜひあなたの印象に残った名言もXやnote、あるいはコメント欄で教えてほしい。

それにしても、

  • TVでやりづらい内容(実話がもとのため、スポンサー問題あり)

  • TVに出しづらいキャスト(未成年淫行疑惑や、逮捕歴ある俳優)

がNetflixで大バズリするのは皮肉だ。
テレビは何を守って衰退しているのだろうか。ネットに土地を奪われていくテレビの行く末は…?

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