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お正月高齢者施設年賀状紛失事件
今日の施設の昼ご飯は七草粥でした。「今年はどの方角かな?皆さん無言でお粥食べてね~!」と完全に恵方巻と間違えて大恥をかきました。#思ってるより何倍もハズい
こんにちは、コッシーです。
さて、皆さん年賀状は書かれましたか?最近では書く方が少なくなってきたと言われます。
メールやLINEなどで新年の挨拶をされても全然良いと思いますが、直筆の年賀状をいただくとやっぱり嬉しいもので、その辺はデジタルよりもアナログの方が勝っているのかなと個人的には思います。
特に高齢者の方々は年賀状のやり取りで自分が元気でやっていることを伝えますし、また相手が元気なことを知ったりするためとても重要になります。
うちの施設にも毎年入居者宛に年賀状が届きます。ちなみに会社から入居者全員へ年賀状を出しますので、1枚も届かない人はいません。
こちらで入居者ごとに届いた年賀状を仕分けして本人に渡します。認知症の方などは受け取ったとしてもすぐに忘れてしまうかもしれません。しかし、渡されたその瞬間はやっぱり嬉しいと思うので、失くされてしまう可能性は大ですが渡しています。
特に今年は家族やご友人に会う機会が少なかったため、皆さん受け取った年賀状を眺めては目を細めて喜んでいました。
そんな中、ちょっとした事件が起きます。
入居者のNさん(男性)が受け取った年賀状を失くしてしまったと言われます。
Nさんには確かに3枚ほど年賀状を渡しています。うちのスタッフがそれを部屋まで持ち帰っているところまでは目撃しています。
Nさんは認知症ではないものの年相応の物忘れはありますので、部屋のどこかに仕舞い、それを忘れてしまった可能性があります。
なるほど、これは事件です。
このお正月高齢者施設年賀状紛失事件の謎をとけるのはこの人しかいません。
そう名探偵コッシーの登場です。
「OK。そういうことなら僕に任せといて」
そう言ってNさんと一緒にお部屋に行きました。
こういう時は闇雲に探しても見つかりません。Nさんの普段の行動パターンから追うと案外簡単に見つかったりするものです。名探偵ならではの推理です。
「Nさん、部屋のカギはいつも何処に置いてる?」
そう、部屋に入るにはカギを開けないといけません。開けたカギを置く時に一緒に年賀状も置いている可能性があります。そこに気付ける人はそうはいません。さすがは名探偵と言ったところでしょうか。
Nさんが普段カギを置いていたのが入口付近の棚の上でした。棚の上や引き出しの中を隈なく探しましたが年賀状は見つかりませんでした。
「Nさんはいつも何処辺りに座っているのかな?座椅子?ベッドの上?」
高齢者は体力が落ちており食堂から居室まで歩いて戻るだけで疲れてしまう場合があり、部屋に戻ったあとすぐに休みたくなる傾向にあります。もしかしたら座って拍子に年賀状を置いたかもしれません。推理が鋭すぎて自分の天才ぶりに怖くなります。
Nさんは普段ベッドの上に座っているとのことで、ベッド上を隅から隅まで探しましたが年賀状は見つかりませんでした。
「もしかして、お部屋に戻ってからトイレとか行ったかな?」
高齢者はトイレが近い傾向にあり、特に寒くなってくると行く回数も増えます。もしかしたら部屋に戻った後すぐにトイレに行きそこに年賀状を置いたかもしれません。ここ気付けた人います?名探偵として後世に名を遺すかもしれません。
トイレの便器の中まで探しましたが年賀状は見つかりませんでした。
これはかなりの難事件です。名探偵の頭脳をもってしても見つかりません。もう推理とかどうでも良くて部屋中を探しました。#名探偵どこいった
タンスの中も絨毯の下もテレビ台もめちゃくちゃ探しましたがどこにも見つかりません。
この名探偵がここまで探しても見つからないということは、この事件はどうやら迷宮入りとなりそうです。
「ごめん、Nさん。どこにも見当たらないよ…」
そうNさんに謝罪をすると、逆にNさんの方もかしこまり、
「いやいやこちらこそ申し訳なかった。これで何か美味しい物でも食べてください」
そう言って財布からお札を取り出そうとしたので、さすがにそれはお断りしようと思ったその瞬間、Nさんが「うわああ」と叫びました。
そして、「あ、ありました…」と財布から二つ折りにされた年賀状が出てきました。
年賀状を受け取ったのがよほど嬉しかったのか、財布の中に大事に仕舞っておいたみたいでした。
見付けられないフリをしてお礼に財布を取り出す作戦がどうやら成功したようです。これが名探偵の実力です。
Nさんから「ありがとうございました!助かりました!」とお礼を言われて、少し胸が痛みましたが、大切なのは年賀状が見つかったという事実!かつてないほどの難事件だったお正月高齢者施設年賀状紛失事件は無事解決となりました!
いやお前何もやってないだろと思ったそこのあなた!その通り!!
年賀状すら見つけらない、見た目は大人、頭脳は子供その名は迷探偵コッシーでした。
現場からは以上です。それではまた。
コッシー