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祈祷について
若い頃は自力で法力や霊能を鍛えて神仏を祈りでねじ伏せるような気持ちで行なっていたが、これは大きな間違いでした
実際には神仏に全てお任せして結果を委ねるように祈る方が霊験もあらたかで自分も疲弊しません
自力でねじ伏せても必ずその反動は来ますし、それは祈祷では解決しません
あれだけ霊験を出した密門会の織田隆弘大僧正が易行道を言われ、親鸞と密教の話をなされていたのも若い頃はわかりませんでしたが、今ではよくわかります
特に修行すれば霊験がつくと思っていた頃は、常に焦りのようなものを抱えていましたが、今は人事を尽くして祈って全て惟神にお任せすれば良いと安心の境地です
一遍上人が「一代聖教皆尽きて南無阿弥陀仏に成り果てぬ」と説かれたことも今ではよくわかります
いろんな知識や技術や体力や霊力や法力やと頑張っても、それらは自分一代の小さなもので、大きなもの(阿弥陀仏)と一体になれば良いのです
神仏と一体になることを仏教では南無と言い、神道では惟神といいます
神道では「言挙げせず」と言って、あえて説明しない、言葉にしない「以心伝心」のようなところがありますが、仏教では不立文字とも言いつつも、言葉や文字で説明しようという試みが神道よりも長けていますので、神道の境地を説明するにも、仏教の教えを借りて話す方が伝わりやすいことが多いです
日本は神仏習合の国ですが、これもただ単に混ぜ合わせて集合したのではなく、神道と仏教の中に共通する真理が含まれていて、そこを見出した古人たちの叡智がそこに含まれています
ですから神道の中にも仏教の悟りがあり、仏教の教えの中にも神道が含まれています
逆に日本仏教の中にも、神道が含まれていると言えるでしょう
そうした融通無碍の境地に至ることが大切です
特に弘法大師空海が日本に招来した真言密教は神仏習合に非常に適した教えでした
密教の深い教えが神道に与えた影響は大きく、私の神道論も実際は空海の密教論に非常に影響を受けております
また密教は積極的に日本の神々や神道を取り入れ、両部神道といわれる密教による神道まで生み出しております
江戸時代の密教の高僧である慈雲尊者は
『神道の赤心は、密教の清浄菩提心を知ることに在り』
『神道は玄妙なり、わが密教と表裏を相為す』 と
『神道と密教が表裏一体』であることを説かれております
ですから神に祈る者は同時に仏にも祈る者でもあるので、祈祷は神仏両方に祈るのが良いと思います
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