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#詩『夕凪のあのひと』

夕凪のとき。

玄関を通り過ぎるあのひとの姿に驚かされる。

歩みさる影。
さらさらと揺れる髪。

そのどこが不思議なのか僕には説明できない。

けれども、はかない背中をそっと優しく包み込んでしまいたい衝動に駆られた。

ただ、ただ愛しいひとに寄り添いたいと願う心を咎める者はなかったけれど、時はもう遅すぎて。