「ステージマナー、あるいは向上心について」
今の音楽大学では、
演奏については
個々の先生のレッスンで
色々と教わることになるが、
演奏活動に必要な
ステージマナーや
舞台人としての立ち振る舞い、
躰の意識などについては
ほとんど野放しに近いのではないかな。
「身体表現法」という講座は
どこの音大にもあるけれど、
どちらかというと
「オペラのための身体を作る
ストレッチの仕方」
が主流であって、
「舞台での見られ方」
を意識したものは少ないと思う。
(少なくとも私の学生時代はそうだった。
個々のオペラでの具体的なポーズは教わっても、
その根幹となるものについては
事実上ノータッチだったと記憶している)
今の学生さんや若手、
既に演奏活動を重ねている
年配の方も含めて、
「舞台での見せ方」
「立ち振る舞いの仕方」に
疑問を持っている人というのは
存外に多いのかも。
ならば、
「ステージマナーの講座」を
積極的にプロデュースしてみるのも
良いかも知れないな。
・・・と、SNSで呟いたのは
もう4年ほど前のことになるか。
あれこれと考えているうちに
今回のコロナ禍が押し寄せてきて
スタージマナー講座どころか
主催する演奏会企画そのものが
活動休止状態になってしまったが・・・(涙)
※ ※ ※ ※ ※
ステージマナーや舞台所作、
その基本となる体幹トレーニングは、
学校や研修所で基礎から細かく
体系的に教えてもらえる訳ではない。
最終的には
個人の問題意識に
委ねられてしまっているのが現状だろう。
多くの人が
オペラの現場や演奏会の現場で、
それぞれ試行錯誤をしているとは思うが、
これも歌と同じで、
独学や我流でできることには
どうしても限界がある。
いくら自分の躰の動きや
姿勢に注意していたとしても、
「意識から抜け落ちている部分」
については気がつかないままであったり、
他人の動きをどれだけ注意深く見ていても、
その部分だけは見えていない
(目に映ってはいても
脳や心が”問題”として認識していない)
という事も多々ある。
「人は、自分が見たいと思うものしか見ない」
・・・存外、そういうものではないだろうか。
講座やコーチング、
レッスンを受けるということは、
そうした
「見落としている部分」
「意識から欠落している部分」
の指摘を受けることである。
また、
見えている・注意していると
「思い込んでいた部分」
の修正を受けるということでもあり、
自分が
「これ位できれば良いのではないか」
と設定した
己の尺度の甘さや曖昧さを一蹴され
思い知らされることであり、
そうすることで
今まで被っていた固い殻を破り、
新たな可能性に希望を見出す
「機会・チャンスを得る」
ことではないかと思う。
演奏であれ、演技であれ、
ステージマナーや身体強化・改造であれ、
自己の向上を図るのであれば、
「自分自身と対話し
心の閃きによって解決する」
「書物やネットから必要とする
情報を引き出して解決する」
「友人や同僚・先輩との語らいの中で
気づきを得て解決を模索する」
「これはという先生を見つけ、
門を叩いて教えを乞う」
「ほおっておけば、そのうち
時間が解決してくれる」
「私のウリは○○なので、
それのみをひたすら磨き
他の事は些事として切り捨てる」
・・・等々、
様々な選択肢の中から
自己の責任において
取るべき途を選んでいくことになる。
その意味では、
私がプロデュースを考えていた
「ステージマナー講座」も、
数ある選択肢の一つでしかない。
どのような選択肢を選ぼうと、
それは本人の自由。
選んだ結果としての現在や
未来を受け入れるか否かも本人の自由。
願わくば、
後悔や忸怩たる思いを
延々と引きずってしまうようなことのない
賢い選択を行っていきたいものである。
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