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下請け宅配業という奴隷制度

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宅配便制度の実情を、実体験をもとに書きました。
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下請け宅配業という奴隷制度③

下請け宅配業という奴隷制度③

【配達の困難と非効率】

AM8:40。荷物を積み終えた僕は、車を営業所の端に移動させた。持ち出し荷物は40件、メール便は13件。伝票とメール便を、住所別に分ける。よりによって一番遠い地区に午前中指定の荷物がある。仕方がないので、その荷物を一番に訪問し、手前に戻るようにルートを設定した。

時間帯指定をしているのに在宅していないというのはよくある話だ。一番遠い家でその状況に陥ったのは厳しい。イライ

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下請け宅配業という奴隷制度②

下請け宅配業という奴隷制度②

【導入部分】

午後8時、配達を終えて事務所に戻ると、社長が一人、机に座って迎えてくれた。斜め向かいの席に座ると、テレビのCMが耳に入ってきた。「未来をつくる。〇✕配送」顔を上げると、画面に映る俳優が綺麗なスーツを着て笑っていた。僕らを絞り上げて得たお金の行き先が、こんな茶番CMだと思うと腹が立つ。

雨水が染み込んだ安全靴に、黒ずんだゴム手袋、10本100円で買ったインクのかすれるボールペン。あ

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下請け宅配業という奴隷制度①

下請け宅配業という奴隷制度①

xで【宅配便】と検索すると、
以下のような文章が見られます。

「時間指定してるのに荷物が来ない。
 ありえないんだけど」

「荷物が雨に濡れている。こっちは客なのに」

宅配業者への恨み言が、山のように、検索結果として出てきます。

この文章は、実際に宅配業務に携わり、
運営にも参加していた僕が、世間に

**「宅配下請け業務の実情」**

を知ってもらうために書きました。

例えば、大手ネット

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