D2C事業を立ち上げる際に気をつけたい5つのこと
初めまして、上妻(こうづま)と申します。
現在androotsという会社での通販事業において、主に新商品開発や新規顧客の獲得をメインで担当しています。
昨今、メディア(アフィリエイター)や全くの他業種からのD2Cへの参入が多く見受けられるように感じます。
一方で、「どんな商品」を「どこ」で「どうやって」売ればいいのか、事業者サイドにしか知り得ない情報は多いものです。
そこで今回、D2C事業だけで年商約60億稼ぎ出す組織に勤める僕から、僭越ながらD2Cを始めるにあたっての注意点を5つだけに絞ってお話しさせて頂きます。(初学者向けの内容なので既知のところがあれば読み飛ばしてください)
もし「このnoteの内容だけで分からない」「より詳しい話を聞いてみたい」という方はTwitterを開放しておりますのでいつでも気軽に話かけてください。
また、今回のnoteの内容に関して私が尊敬する多くの方よりご感想を頂いております。関わってくださった皆様、本当に有難う御座いました。
(1)商品開発における注意点
商品に関して法的にNGなものでない限り、通販で売ることに制約はありません。
が、通販をやるとなると話は大きく変わってきます。
もしあなたが通販(特に単品リピート通販)をするのであれば、以下の事柄には注意が必要です。
・コンプレックス訴求が可能か
・薬事法的に謳える訴求があるか
・継続して使用される商品か
最低限通販事業で収益を出すために、上記3つは絶対に欠かせません。
まず、「コンプレックス訴求が可能か」という点に関して、基礎的なことになりますが説明しておきます。
そもそもなぜ人は見知ったドラッグストアなどではなく、わざわざネット通販で商品を買うのか、ここに答えがあります。
それは高いお金を出してでも解決したい悩みがあるからです。
例えば、口臭・体型・脱毛・しみ・しわ・白髪など外見的コンプレックス(悩み)を解消したいというニーズは世の常です。
こういった悩みに、突き刺せるような訴求ポイント(セールストーク)があるかどうかで、新規顧客の獲得のハードルは大きく変わってきます。
2点目の「薬事法的に謳える訴求があるか」に関しては特に重要です。
先程のコンプレックス訴求が必須という話をしましたが、人の悩みを無闇やたらに煽って言いわけではありません。
下手すれば薬事法違反などの罪で逮捕されてしまいます。
例えば、「飲むだけで痩せる」など、身体に直接的に作用するような表現は医薬品にしか認められていないので、これを健康食品などでやってしまうとアウトです。
未だにこのような黒めの訴求で新規顧客を獲得している会社を見ますが、持続性がなく、またリスク(逮捕や業務停止命令)も計り知れません。
新商品を開発する際は、必ずどういった訴求でコンプレックスに訴えかけていくかを予め考え、それが現在の広告基準と照らし合わせて可能なのかを確認するようにしましょう。
3点目の「継続して使用される商品か」という点ですが、これも最重要ポイントと言えます。
通販でウェブ広告を使用して、新規顧客を獲得する際のCPA(1顧客あたりの獲得にかかるコスト)は、商材差がありますが6000円〜9000円前後の物が多いです。
一方、よく売れる商品その物の価格帯は初回が980円〜2980円程度なので、単純に計算すると大赤字です。
したがって、通販ではいかに2回目、3回目も継続して使って貰えるかという点が重要になってきます。
これはTipsですが、同じ商品でも、獲得の仕方(訴求)の内容によっては継続率が大きく異なるケースがあります。
広告を打つ際は、継続率にも配慮した新規獲得の設計がマストなのです。
(2)競合のサイズにおける注意点
通販といえばサプリ!と反射的に健康食品を作りたくなってしまうのはよく分かります。
しかし、今から参入するのであれば、競合と戦える余地があるかも視野に入れておかねばなりません。
例えばですが、某社の有名なにんにく系のサプリなんかは許容CPA(1顧客獲得に避ける予算の最大値)が20,000円〜30,000円だったりします。
(小規模の件数であれば勝負は可能ですがスケールしません)
すると、当然広告運用者であるメディア(アフィリエイター)達は、高待遇の案件を選びます。
D2Cを始める際に、そもそも広告費というリソース不足で土台にすら乗れないケースはよくあります。
商品を作る前に、今どんな広告の内容で、CPAいくらで顧客を獲得できているかのリサーチは必須です。
(3)商材のリードタイムにおける注意点
意外と盲点なのが商材製造のリードタイムです。
通販に参入したての場合は、売れ残りリスクも考えて小ロットで発注をかけることがほとんどでしょう。
売れ行きが想定よりも良かった時は追加発注をかければいいだけですが、もし製造にかかる期間が半年、などであれば話は別です。
在庫を切らして急いで製造している間に、市場は高速で変化します。
競合の参入、広告基準の変化、広告の最適化の狂い、季節的な要因など、通販は常に売れゆきが外的要因に左右されます。
在庫リスクばかりに目が行きがちですが、実はこの在庫が足りないリスク(機会損失)にも同じくらい目を向けねばなりません。
ちなみに、筆者は一度これを経験しています。
そこで学んだのですが、在庫切れを起こしても事業者の努力でなんとか売れ行きを繋ぎ止められるのが2ヶ月程度であるという事でした。
あくまで経験則ですが、消費者はそれ以上待ってくれません。
ちなみに、在庫切れを起こした際にやった事としては、在庫切れと同時に予約注文に切り替え、そのまま新規顧客の獲得を強行しました。
お客様への商品のお届けは最大90日程度お待たせしてしまうことになりましたが、CVRの低下やCPAの高騰など最悪な事態を避けることが出来ました。
このように、いかに在庫を切らさないかが重要ですが、それに加え在庫が切れたとしても短期間で補充が出来るように、製造のリードタイムが少ない商品にすることも重要です。
特に海外から原料を輸入したり、容器のパーツがいくつにも分かれている商品には注意が必要です。
また、補足ですが在庫切れはモールでのSEO順位に悪影響を与えます。モールの売上定価、順位を再度上げるための広告費の高騰などのデメリットがあるので、在庫切れは意図しない限り避けたいところです。
(4)顧客対応における注意点
この部分はまさに僕が直近経験した話です。
仮に商品が想定以上に売れたとしても、手放しで喜んで良いわけではありません。
なぜなら、販売の後ろ側では必ず「顧客対応」という超重要なミッションが待ち構えているからです。
そもそも、通販における顧客対応には「攻め」と「守り」があるのをお伝えしておきます。
顧客対応の「攻め」と「守り」
①クレームなどの対応(守り)
②ファン化させる対応(攻め)
守りはなんとなく分かると思いますが、購入者数が増えるに連れて、解約は配送サイクルの変更の問い合わせが比例して増えていきます。
これはどんな商品においても絶対です。
もし、商品を売るだけ売って解約に応じれない(キャパシティ的に)場合は、消費者庁から指摘が入るなんてことになりかねません。
新規顧客が増えたとしても、CSでも対応可能なように下準備はしておきましょう。
特にコールセンターの回線などは急には増やせないので注意が必要です。
一方で攻めの対応ですが、これはLTVを最大化させるための顧客対応です。
電話の応接の品質が良ければ、当然会社のファンも増えます。
すると必然的にファンが増え、LTVが向上します。
これはマストでは無いですが、長期的に見て絶対にやった方が良いポイントになるので、頭の中に入れておいて欲しいです。
(5)データ管理における注意点
通販では本当に多くの指標を日々追いかけることになります。
なぜなら、数値を細分化して管理すればするほど投資効率が上がるからです。
例えば、以下のような数値を僕たちは日々チェックしてたりします。
(メーカに話を絞りたいので記事広告周りの数値は割愛しています)
LPCVR・カート離脱率・クレカ選択率・購入端末内訳・CPA・LTV・アップセルCVR・クロスセルCVR・LINE登録率・メルマガ登録率・初回キャンセル率・再販率・2商品以上同時購入者数・代理店ごとキャンセル率・代理店ごと継続率・キャンセル阻止成功率・応接完了率・受取拒否率・マイページ利用率・メルマガ開封率・・etc
思いつくものをたくさん書きましたが、全て洗い出すとこの3倍はあると思います。
通販で利益を最大化させるにあたって、数値の把握と改善はマストです。
しかし、肝心の数値の把握部分が出来ていないと、何を改善すれば良いかも分からないものです。
販売を開始する前に、どんな指標を追いかけるのか社内で決め、必ず数値を振り返り、いつでもPDCAを回せる体制を構築しておきましょう。
ちなみに弊社ではGoogle Cloud Platformのビッククエリという仕組みを用いて顧客データの管理や解析を行っています。
終わりに
最後まで読んで下さった方に感謝致します。
今回のnoteは通販初心者の方に向けて書いた内容になります。
お詳しい方は物足りないなかったかもしれませんが、より高度な内容は今後書いていきますので、リクエストなどあればTwitterにてお知らせください。
以下のお悩みの解決をお手伝いさせて頂きます!
・新規獲得が上手くいかない
・LTVの上げ方に悩んでいる
・新商品のアイデアが無い
・作業に追われ人手不足