「グリーンレクイエム」新井素子 著 を読んで
新聞の新刊案内で、「絶対猫から動かない」を知り、その後、図書館で入手して、むさぼるように読破。とても面白かったのだが、その作品は昔書いた「いつか猫になる日まで」が若者の話だったので、それを50代の大人にして書いたものだったようなことが書いてあり、ぜひ最初の本を読みたいと思っていたのだが、当時は廃刊していたりして手に入らず。ようやく図書館にリクエストして、2019年に新しく出た本を入手できた。
それは新井素子SF&ファンタジーコレクションの一巻目に入っていて、「いつか猫になる日まで」は結構短くあっという間に読み終えてしまい(荒唐無稽でとても面白かった)、同じ本に収録されたグリーンレクイエムがかなりの長編で、意外性があり、読み応えがあって、感銘を受けた。
グリーンレクイエムと、その続編の緑幻想グリンレクイエムⅡは、だいぶ書かれた時期がずれるそう。また、最初の本は大学時代に下書きの原稿を紛失して、全部書き直したというので、さらにびっくり。
大学時代にいつも小説のノートと辞書とを持ち歩いていたようだけれど、この語彙力、表現力、世界観、素晴らしすぎる。
ちょうどこないだの日曜日のNHKスペシャルが、植物同士が言葉とは違う伝達手段を持っているというものだった。まさにその時に、グリーンレクイエムと読んでいた途中だったので、植物VS人間みたいな感じのこの小説が真に迫ってきた感じ。
終わり方も、今の地球温暖化とかを予測していたかのようで、新井素子すごすぎるぞ。
年齢的にも近く、昔職場の先輩が新井素子と同じ大学で、すれ違ったことが何度かあり、いつも眠たそうな顔をしていたと聞いたことがある。その話を聞いたとき、私は彼女の本はまったく読んでいなかったのだけれど、名前を聞いて分かるくらいの知識はあったみたい。
同時代を生きていて、同じ頃に大学生だったと思うと、不思議な感じ。
当時、国文学科だった私は、卒業論文をなんとか手書きで(当時は手書きしか認められていなかったので)書いたのだけれど、担当教授が、大半の学生はこれが生涯最初で最後の大作となるだろうと言っていたのを思い出す。まったくその通りで、以後、こんな長いものは書いたこともないし、書きたくもないしって感じだったもんなぁ。
この新しい本で、いくつか過去の作品を読んでいるのだが、「絶対猫から動かない」もまた、改めて再読したい作品のひとつ。