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黄昏ペダル 身体のデータを取り続けている
下書きのまま9ヶ月も経っていた。
2023年7月25日、データーはとり続けている。
■医療データと科学的トレーニング
2021年7月23日、東京オリンピックの開催日にマウンテンバイクを抱えて私は倒れた。
急性心筋梗塞だった。心臓の2本ある冠状動脈が2本とも詰まっていた。
運良く助けられ、20分内に専門病院へかつぎ込まれた。
診断「重症だった」
集中治療室(ICU)へ担ぎこまれ生死を彷徨い、それでも最新医療技術と医師のおかげで生き返った。
ICUのベッドの上、意識がはっきりしたとき、医者が言う、
「生きている事が奇跡だよ」
カテーテル治療でステントを何本もいれているので、毎日、朝と就寝前に血圧、体重、心拍数を毎日とり続けている。データーはエクセルの表にして入力している。
■心肺運動負荷試験(CPX)
退院から2ヶ月後、病院のリハビリセンターで、体脂肪率、筋肉量を計測、心肺運動負荷試験(CPX)を受けた。
CPX検査は心臓の異常も検出するが、基本は心肺能力を測定する機器だ。
![](https://assets.st-note.com/img/1670896010706-WnpJ2Vsusm.png)
・Peak VO2(最高酸素摂取量):これ以上もはや運動ができないという強度における酸素摂取量
・AT(嫌気性代謝閾値):好気的代謝に無気的代謝が加わる時点での酸素摂取量
・Peak VO2/HR(最高酸素脈):最大負荷時の心拍出量(心ポンプ機能)の指標
結果は健常者の平均の105%の心肺機能を持っていた。
リハビリ方法
リハビリには、主に散歩と筋トレ、自転車のローラー台(GTローラー)を使った。最近ではスイムも行っている。
ローラー台の使用時には心拍数をモニターして、その平均値を記録している。30年間以上トライアスロンを競技を続けていたので、科学的トレーニング用の機材はある。リハビリに十分使える。
一般にトライアスロンのトレーニングではAT値を上げるものが多い。その強度を下げることでリハビリに対応させた。
理学療法士さんにもその練習データを見てもらったが、
「全く問題ない」と言うことだった。
■奇跡の回復(治療と病状の把握)
助かったのも奇跡だったが、回復も奇跡的だった。
その要因は先にも書いたが、30年の長きに渡り、ほぼ毎日継続した有酸素運動をしていたからだと推測する。
同時に妻の厳しい栄養指導による食事も効果があった。
心筋梗塞の経験の無い方は病状が分からないと思うので少し説明する。
緊急対応時に担当だった女医さんは、色々な話をしてくれたので、自分の症状を客観的に見ることができた。
まず、虚血性疾患の専門病院においても、私は久しぶりの重症患者だったそうだ。冠状動脈が左右詰まっていった。一つでもかなりの重症、ほぼ棺桶に片足を突っ込んだ状況。
倒れたその日は、35度に気温の中でマウンテンバイクの練習をしていた。
当然疑問が湧く、
「何故ここまでほっておいた?」医師が問う。
心臓病の予兆は今思えば沢山あったが、トライアスロンの練習が出来ていたので、「まあ平気だろう」と高をくくっていたのだ。
なめきった私に死に神が来た。
ここ10年ほど5080問題(親の介護問題)で、休んではいられないという事情もあった。
それでも時間が経てば全てが終わる。
「親の介護」「子育て」「家のローン」「20年続いたベンチャー企業の解散、仕事からの引退」
ようやく私は開放された。
そんな気の抜けた65才の誕生日の2週間前に、ついに死に神が来たのだった。1年遅れの東京オリンピックの開会式の日に倒れた。
ステント治療
心臓にはカテーテル治療を3回施術して、ステントを5本入れる。これはなかなか稀だと言う。さらに造影剤を結局4回入れた。これで腎臓がかなりダメージを受けた。
元気になってからだが、女医さんが
「ツッコミ何処満載な心臓ですね」と言う。さらに、
「手首の血管が元気なので、まだカテーテル治療は出来ますね」と言う。
流石に「もう十分です」
![](https://assets.st-note.com/img/1689776046700-yQG5sPIv2G.jpg)
心臓の回復
施術が終わった時点で、エコー検査では心臓機能が38%。
かなりのダメージを受けている。心臓が壊死に近い状態だった。
ただこの時、この女医さんは、「もっと回復するのでは」と言っていた。
他の医師は無理だろうという意見もあった。
実際退院時は歩くのもキツかった。
「終わったな、これからは、本でも読んで静かに生きよう」そんな気分になっていた。
■リハビリ続ける
仕事を辞めたので時間はある。
全てのリソースを利用しようと思い。退院後、病院に併設した心臓リハビリセンターに通う事にした。
とにかく医療データが欲しかった。
リハビリ担当医が、35年前、琵琶湖のアイアンマンで、医療スタッフをしていたと言う。そのアイアンマンに出場していた私。なんとも不思議な縁もあった。
実際問題として、心臓の血管の末端の一部は化石化して機能してないし、さらにここまでの症状になる前に、患者はほぼメタボか他の成人病を併発しているという。
私の体脂肪率や体つきからは成人病はあり得ない。特定出来ないが、遺伝的な特質も影響していると言われた。
膨大な運動量の蓄積
私はトライアスロンで、自転車の練習、スイムも毎週泳いでいた。最近ではトレイルランもやっていた。それを休まず35年続けていた。
ちばみに医師も理学療法士もそのトレーニングの内容と蓄積を知らない。おそらくその練習量や負荷などは想像も出来ないと思う。
回復
そして半年後、
心臓機能は52%、ほぼ一般的な範疇まで回復した。2回目のCPX検査(心臓負荷試験)では健常者の平均の150%の心肺機能を示した。
担当したリハビリ担当の女医さんは驚いていた。
「何で回復したかよくわからないけど、寿命が延びましたよ!」少し怒ったように言った。
■ドーピング
そして1年4ヶ月後(2023年12月現在)
スイム練習を開始して6ヶ月、練習負荷は80%までとなった。
インターバルでも大分回れるようになった。久しぶりにバタフライで50mを泳ぐ。
病気前より心臓の調子はいい。心拍数も低くなった。
復活しているようだが、唯一違うのは心臓や血液の薬などを7種類毎日飲んでいる。
やはり基本病気持ちだ。
心臓関係のドーピング。
薬は確実にドーピングにひっかかるものだ。
65歳でドーピングを初めてする。
それも面白い。
60才でのマウンテンバイクレース、最高齢だった。何とか完走した。
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