自然から食料を調達する方法
鶏(にわとり)
昔の多摩地区では、鶏を飼っている家をよく見かけた。飼っているのは庭の広い農家が多い。犬猫も多くの家で飼っていた。それと鳩小屋を作って伝書バトを飼う家もあった。高い空に鳩の群れが飛んでいる風景、これが多摩地区の普通の風景だった。
鶏(庭鳥)というくらいだから、鶏は農家の広い庭で放し飼いされている。そのほとんどが卵を産む雌鳥だ。雄は1羽程度。この雄は繁殖用だ。
この雄鳥、早朝に「コケコッコー」と鳴く。最近、滅多に聞こえない鳴き声だ。聞いたことのない子供達も多いと思う。
朝の雄鳥の雄叫び、夜中の犬の遠吠え、先の鳩の群れと同じで、東京都下からいつの間にか消えた自然だ。
それに子供も大人も気づく事もない、正に「シフティング・ベースライン・シンドローム」
[シフティング・ベースライン・シンドローム(shifting baseline syndrome)は自然環境の保全にも関係する。
幼少の頃や最初に接した自然環境が基準となるため、環境が以前よりも劣化している場合、知識が浅くなるばかりでなく劣化した環境を特に異常だと感じない]
卵
さて卵だけど、有精卵から生まれた雌は卵を産ませるが、雄はどうなるだろう。繁殖用には1羽程度でいい。
となると「食べます」
そうなるだろうね。肉が美味い若鳥の頃に絞める。
子供の頃、私はその一部始終を何度か見て、鶏肉が嫌いになった。
農家のおっさんが、庭で首を捻って、その後逆さかにして血抜きをする。その後、お湯につけて羽根をむしる。私は臭いがいやだった。生臭い鳥臭がトラウマになった。
ヒヨコ
ヒヨコの雄雌を見極めるのは難しい。農家のおっさんは、ある程度育つのを待って、雄だと絞める。しかし養鶏場へヒヨコを卸しているプロは雄雌を見分けられる。そしてはじかれた雄のヒヨコはお祭りで売られる。
私もお祭りで、ピンクと緑と青に色つけしたヒヨコを3匹買ったことがある。ヒヨコはあっという間に大きくなる。1匹は近所の猫に食われたが、2匹が大きくなり、時の声を上げだした。
さらに自分のテリトリー(庭)を守るため、人に攻撃を加えてきた。
「だめだなぁ」と言い、親父は近所の肉屋へ鳥を持っていった。
それはハム(豚)に代わって帰ってきた。
今の鶏肉
現在、ここ多摩地区でも、学校で飼っていた鶏もいつの間にか消えた。
マンションは少ないが、土の見えない駐車場とセットのようなコンクリートの土台に建つ一戸建てに住む人が増えてきた。最近の流行なのか?
これでは庭(土)と植木のないマンションとたいして代わらない。
庭もないので鶏(庭鳥)はいない。今時鶏を飼う家はいない。
そこで、大量生産された鶏がブラジルで処理され、冷凍コンテナで運ばれて、安くスーパーに並ぶ。
「胸肉は脂肪が少なく、ダイエット向きだ」と添加物満載の肉を料理する。 肉を食べても、体に栄養を補給しているだけで、命を食べているとは感じない。
「宮崎牛、ステーキA5ランクだ。これは贅沢だ」
市場価値は分かるが、口にした肉の生きている姿を誰も想像しない。
それでも事実として牛を殺して、命を戴いている。
この牛肉は宮崎で解体されて処理されているはずだ。ビーフシチューとなった。美味い肉だった。
人間が生きること
生きることは食べることだ。つまり代謝だ。人間は常に代謝している。
酸素吸って二酸化炭素を吐く。命を食べて、それを消化して排泄する。体を使う。寝る。そして翌朝、昨日食べた命が体を作っている。
この代謝は金で解決できない。メタバースでも無理だ。自分でやるしかない。
[代謝とは、生体内で生じる全ての化学変化とエネルギー変換のことである。 さまざまな栄養素が合成・分解されていく過程を指す]
自給自足を意識
これを意識すると、肉しか食べない人達にとって、自給自足は狩猟だと短絡思考する。
しかし日本は獣の住む山も多いが、一面海だ。獣を捕ることより簡単に、タンパク質も他の栄養も豊富な命を捕ることが出来る。
それは釣りだ。
海釣り
今回は海釣りを紹介する。
まず釣ったら、直ぐに神経締めして血抜きする。そして自宅で素早く捌く。内臓をそのままにしているとアニサキスが筋肉に入る。最近の青魚のアニサキスは半端なく多い。クジラの増加が影響していると言われている。
ちなみにアニサキスをカニサキスと言っていた人がいた。
「カニサキス、あれ痛いよね、カニみたいに挟むらしいよ」
面白いので指摘せずにいる。
野性の生き物はほぼ寄生虫がいる。少しは勉強している。
出刃包丁
包丁が安物だと捌くのが大変だと聞く。ちなみに私はあくまでも見る立場でものを言っている。
実際の所、私はほとんど料理をしない。釣りも大人になってからは全くやらない。
私は家族の為、資本主義の歯車として働き、お金を得て、食の問題を解決していた。そして子供を育てた。よって、ここでは釣りを趣味としている娘2の釣果から命を戴くことにした。
一昨年の海釣りで釣れた魚は、サワラ 、ワラサ(ブリ)、太刀魚などだ。
以上だが、捌いてからの料理は大変だ。