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レッドカレー (แกงเผ็ด ゲーン・ペット)☆タイカレーあれこれ(2)☆

身近なタイ料理としてタイカレーについて解説します。
「タイカレー」とは、外国人が使っている料理名で、タイ人は、スープも含め汁物全般をゲーン(แกง)と呼んでいます。では、タイカレーとは何かというと、辛くて少しとろみがあってご飯にかけて食べられるゲーンのことを外国人が称したものということになるでしょうか。ここでもあえて「タイカレー」という言葉を使いながら話を進めていきます。

レッドカレーのタイ語は「ゲーン・ペット」、直訳すると「辛い汁物」です。 タイカレーはどれも辛いのに、なぜレッドカレーだけがそう呼ばれるのでしょうか?

唐辛子がタイに伝わって最初に作られた汁物だったからと推測されます。タイ料理に欠かせない唐辛子は、タイが原産ではなく、南米からヨーロッパに伝わって、アユタヤ時代にタイに持ち込まれました。タイでの歴史がそれほど古くないことに驚きますね。それまでも、コショウなど香辛料を好んで使ってはいましたが、トウガラシがよほどタイ人に合っていたのでしょう。あっという間に香辛料の主役に躍り出てしまいました。ちなみにコショウを「プリック」と呼んでいて、辛いトウガラシも「プリック」みたいだと呼ぶようになって定着、タイに元からあるコショウを区別するために「プリック・タイ」と呼ばれるようになりました。

市場のトウガラシ売り場

トウガラシには、殺菌・防腐効果や食欲増進、疲労回復作用などがあり、熱い土地で暮らす人にとって自然に体が求めるものなのかもしれません。レッドカレーは、そんなトウガラシで作られたものです。赤唐辛子を使った辛いカレーは、当時のタイ人にとっては衝撃だったのか喜びだったのか。レッドカレーの後にいろいろなカレーが後続して作られることになります。このレッドカレーの基本のペーストは、ホーモック(フィッシュケーキ)など他の料理にも利用されるようになり、タイ人の味の基本と言えるのかもしれません。

具には、鶏肉、豚肉、牛肉、鴨肉、エビなどの他、タケノコやナス、カボチャなどたっぷりの野菜も使われます。ホーラパーというタイバジルやグラチャイというショウガの仲間、コブミカンの葉などハーブもたっぷり入っていて、タイ人の体を作って来たとも言えます。レッドカレーペーストをココナッツミルクと一緒に煮立て、具を入れてナンプラーで味付けします。

タイ人は大好きで屋台などでもよくみかける一般的な料理ですが、辛いイメージが強いせいか、日本人にはなじみがなく、あまりレッドカレーを食べたという話を聞くこともありません。先に述べたようにトウガラシを使った最初に作られたカレーということで、辛さは、他のカレーに比べて特別に辛いわけではありません。多分…。せっかくですから、タイカレーをいろいろ食べてみたいと思う方は、ぜひ、レッドカレーもお試しになってみてください。

参考まで 【ホーモック】
レッドカレーペーストを使ったココナッツミルク入り魚のすり身蒸し
英語では、Thai steamed red curry cake with seafood などと訳されています。

ホーモック


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