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プー・パッ・ポン・カレー(ปูผัดผงกะหรี่)☆タイカレーあれこれ(10)☆

身近なタイ料理としてタイカレーについて解説します。
「タイカレー」とは、外国人が使っている料理名で、タイ人は、スープも含め汁物全般をゲーン(แกง)と呼んでいます。では、タイカレーとは何かというと、辛くて少しとろみがあってご飯にかけて食べられるゲーンのことを外国人が称したものということになるでしょうか。ここでもあえて「タイカレー」という言葉を使いながら話を進めていきます。
Mother Brain 

プーは蟹、パッは、炒める(正しくはパット)、ポンは粉、つまり蟹のカレー粉炒めです。カレーはタイ風だとカリーと発音します。このメニューを語るとき、発祥とされるソンブーンレストランの名を出さないわけにはいかないでしょう。タイカレーが辛くて食べられない外国人のために考えたという説や家族のために作ったカレー炒めに卵を加えたら大好評だったというのがあります。
 
ソンブーンの歴史を見てみると、かき氷売りからお粥屋、それからアヒルのスープを売って、やがてアラカルトレストランを開いた創業者夫婦が、見栄えのいいものをということでシーフードをチョイス、さらに高級なものということで蟹を選び、シェフと一緒にこのカレーを作りだしたと言われます。完成したこの料理を日本人観光客のグループが大喜びで食べ、ガイドブックに紹介してもらうことになり、やがて外国人観光客の間でもよく知られるようになったのでした。
 
料理名に「カレー粉」とつけるのも珍しいのですが、それがポイントなのでしょう。実はカレー粉というのは、インドにはありません。いや、そもそもカレーというのもないんですよね。インドのゴアを占領していたポルトガル人が、ご飯にかけて食べる重めのインド料理をCarilと呼んでいたことから、イギリス人がカレーと呼ぶようになったという説があります。やがてイギリスにカレーがひろまって、カレー粉が発明されました。
 
そのゴアでよくとれる蟹を使ったインド風ポルトガル料理「Caril de caranguejo」が蟹カレーの始まりのようで、マカオにも「カリーハイ(咖喱蟹)」という殻ごと蟹を使ったカレーがあります。中国系の人々の間にはそうしたメニューは伝わっていたのでしょうが、卵を加えるというのはソンブーンのオリジナルであると思われます。ちなみにソンブーンレストランは、創業者夫婦が息子の名前をレストラン名にしたものです。今のオーナーはその息子さんでまさにソンブーンさん、店のスタートは、1968年ですので、プー・パッ・ポン・カレーも比較的新しい料理といえます。
 
豪勢な蟹がドーンと出てくるのは圧巻ですが、食べづらいのが難点、おススメは、ヌア・プーといって、蟹肉だけで作ってもらう方法です。ただ、元祖ソンブーンレストランのが美味しいのは、なんとも言えないまったり具合で、その秘密は、油がたっぷりということでもあります。油が苦手な人は、別の店で試すか、自分で作ってみるといいと思います。意外と簡単です。あと、プーではなく、エビやイカ、サバ缶やツナ缶、鶏肉などでもよく合います。YouTubeで作り方を公開したのでチェックしてみてください。

フライパンで作る本格的レシピ(シーフードミックスなのでそうでもないけど)
パッポンカレーとは? の解説もわかりやすく伝えています(この記事とダブりますが)

なんとレンジでこの料理ができるんです!
レシピの他に必須の調味料オイスターソースについても解説しています。


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