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「武道的思考と身体の息吹」という話

第Ⅰ章:禅の副作用と精神主義

 私は、近代以降の日本人はあまり身体というものを大事にしていないのではないかと考えています。というのも、日本人は身体以上に精神を大事にしすぎる傾向があるからです。

 もちろん精神は大事です。精神が大事じゃないというようなことを言うつもりは毛頭ありません。ただ、精神を大事にしすぎて身体をあまりにも軽んじるようになっているのではないかと思うのです。

 具体的に言えば、日本人は精神主義が好きな人が多いように思えます。「大和魂」とか「愛国心」とか「愛社精神」とか「気合」とか「根性」とか「気持ち」とか、そういうものがいたるところで強調されすぎていて、身体的に不可能なことすら押し付けられているように思うことがあるんです。

 例えば、ブラック企業で肉体的(身体的)に不可能な労働を「愛社精神」という、いわゆる「気合や気持ちで何とかやってのけろ」というような無茶苦茶なことが横行していたりします。

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