旅するコックピット③
歩いてお腹も空いてきたので私たちはお昼にすることにした。
あまり現地のレストラン情報を持っていなかったので、目についたレストランに行くことにした。
歩いているとレストラン街のような街に出てきた。日本にも外観のお洒落なレストランは沢山あるが、フランスのレストランはそれとは一線を画しているように思えた。
私はあるレストランに目を奪われた。「よーこそFranceへ。いらしゃませ!」と書いてある看板に目を奪わられたのだ。店の中を見てみると、大漁旗や招き猫、東京タワーの模型などが日本で思いつくものの寄せ集めのように並べられていた。どうやら日本食レストランらしい。
するとサエさんもその日本食レストランに興味を持っていたらしく「ここで食べましょうよ」と言い出した。
私は特に断る理由もなかったので同意した。まさかフランスで最初に食べる料理が日本食だとは。
私たちは、寿司らしきものとお好み焼きらしきものと焼き鳥らしきものを頼んだ。
食べているとサエさんが
「日本が恋しいわ」と呟いた。
「まだフランスに来て1日も経ってないですよ」
「私って日本が大好きなの。日本にいると安心するし、言葉も通じるし、家族もいるし。まあそんなに海外に行ったこともないんだけどね」
「僕も日本好きですよ。僕はコックピットなのでよく海外に行きますが、それでも日本はいい国だと思います。」
「私よく考えるの。もし日本ではない国で生まれてたらって。それでも私その国のこと好きだったのかしら。」
「それはそうなってみないと分かりませんね。」
そうでしょうともそうでないとも言うべきではないと思った私は、曖昧な答えを微笑みを加えて言った。たぶん、サエさんもこういう答えを求めていたのだろう。
ランチを終えお会計を済ますと、定員さんは「どもありがとござました!」と元気な声でお見送りしてくれた。
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