- 運営しているクリエイター
2018年11月の記事一覧
プリンセス・クルセイド 第2部「ザ・ナイト・オブ・ヴァンパイア」 #4 【月夜に嘲う】 3
その夜、ガーネットは見張りの任についていた。月明かりに照らされつつ、夜風を体に受けながら城壁の外へと目を光らせ、外部からの侵入者、あるいは凶暴な魔物を見張るわけだが、実際はそのような類のものが現れることは滅多にない。今の彼女の敵は、主に自分の内側から襲ってくる眠気ぐらいだろう。
(……退屈だな)
手持無沙汰になったガーネットは、腰に差した2本の剣をうちの1本を鞘から抜いた。この聖剣は彼女の
プリンセス・クルセイド 第2部「ザ・ナイト・オブ・ヴァンパイア」 #4 【月夜に嘲う】 2
「……まだかなあ………」
工房の軒先でシャッターに寄りかかりながら、アンバーはタンザナの帰りを待っていた。空には満月を明日に控えた月が輝き、時折吹く夜風が髪を弄ぶ。まだまだ夜は冷える季節だ。アンバーはふと、家のドアを開け、リビングの様子を確認した。ソファーの上で横になるカーネリアの体から、掛け布団がずり落ちている。アンバーがリビングに戻ってそれを拾っていると、階段の上から声が聞こえてきた。
プリンセス・クルセイド 第2部「ザ・ナイト・オブ・ヴァンパイア」 #4 【月夜に嘲う】 1
ジュージューと音を立てる鉄板の上の肉を、タンザナが優雅に切り分け、次々と口に運んでいく。そうしてあっという間にステーキ1枚をたいらげた彼女の脇には、すでに山となった鉄板が積まれている。
「……凄まじいペースですね」
それを隣で見ていたメノウは、その迫力に圧倒されたいた。
「そうですか? まあ、なにせお腹が空いていましたからね」
だが当のタンザナはそんなメノウの反応など意にも介さず、ま