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孤独の力

【ブログの過去記事】

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【映画】『ジェームス・ブラウン~最高の魂(ソウル)を持つ男』

ジェイムス・ブラウンは、黒人音楽史上の最重要人物の一人だ。それに止まらず、黒人文化史に残る偉大な人物だ。 一人の人間が抱えるにはあまりにも大きなステイタスである。よく潰されずに最後の最後まで「JB」を貫いたと思う。

母親にも父親にも“捨てられた”少年時代。自分の力だけで道を切り開き、欲しいものを手に入れなければならなかった。「音楽があるから正気を保てている」苦難の道だった。しかし、ボビー・バードを始め、たくさんの人物の助けがあった。もちろん、JB自身に音楽の才能があったからこそと言える。自分一人で道を開拓した訳ではないが、JBの力がなければ道にならなかったのも事実だ。

JBは孤独だった。死ぬまでJBであった以上、死ぬまで孤独だった。妻もいて親友もいるが、彼は孤独であり続けた。孤独であった少年時代は、忘れるべき過去ではなく、彼の精神の支えにも似たものであったと思う。スターゆえの孤独ではない。彼はスター以上の存在だからだ。自分の孤独さと向き合える人間は強い。

映画は人生の時間軸に沿いながら、少年期とデビュー間もない頃の映像がしばしば挟まれる。彼本人の基本精神とJB音楽の基本精神が繰り返されて強調されていたように思う。音楽の話を書いておくと、底辺にあるゴスペルの高揚感、グルーヴとフィーリング、全ての楽器はドラム等々、JB音楽引いては黒人音楽を理解するキーワードが頻出する。あまり詳述するとネタバレになるがこの程度は敢えて書いておきたい。

黒人音楽ファンなら分っているが、ジェイムス・ブラウンは、ソウルシンガーとしても一流である。ファンキーさとかダンスプレイだけでなく、ディープなソウル歌手である。その辺りも本映画はよく表現できていた。全般的に歌唱・演奏シーンが多かったのもとても嬉しかった。

孤独がテーマの映画とまでは言わないが、孤独の切なさと孤独の力の双方を感じ取れる映画だった。孤独を念頭に置くと、常に胸を張り、人前では笑みを絶やさないJBの姿がとても愛おしく思える。JBを身近に感じただけでも収穫のあった映画だ。

"Please Please Please"


"Soul Power" live in Kinshasa Zaire, 1974.9


Say it Loud- I'm Black and Proud


Try Me (Live In Montreux 1981)


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