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『社会人1年目を舐め切りながら満喫・・・そして』

   電波新聞社入社して2-3ヶ月も過ぎると、基本的なルーティンは出来てきていた。まぁ新入社員なりの与えられた仕事内での話ね。
基本的に朝イチ出勤後は
・全体朝礼
・部署朝礼
・自分の仕事段取り
・当日予定を課長に報告して外回りへ
・担当地域周り
となるのだが、
外回りと言っても、ほとんどアポなど取れるわけもなかったので、基本は飛び込み。これも町の電気屋さんへがほとんど。ただし、そんな昼前に暇している電気屋なんかあるわけ無いのですよ。だいたい町の電気屋さんて、店に並べているものだけを売って商売成り立っているわけでなくて、その商品の設置やら、修理、他電気工事など、店内以外の仕事も多岐にわたっているんだよね。ってこれも、飛び込み取材、営業をして知ったんだけどね。そんなわけで、店主や従業員は昼間は店にいることはほとんど無く、店には店主の奥さまや隠居した先代店主が店番しているのがだいたいだったかな。そんなわけで、先代店主がいれば多少話は聞けることもあるが、だいたい昭和オヤジなわけで、すぐにホイホイ話が聞けることは稀。店番の奥様の場合は、怪訝な顔されて相手にされないのが常。
では、どうするか?
そこで俺的な考えは、ならば昼間に動くのは無駄足以外の何物でもない。となり、世の中舐めきったガキであった俺は、昼間はサボりを決めることとなる。
とりあえず会社を出た俺は、担当地域方面の電車に乗る。初めての場所の場合はその辺りの駅まで行き、喫茶店に入る。地図と電話帳コピーしたものを広げて、電気屋の目星をつける(今みたいにスマホやパソコンなんて無かったので、そういうアナログなものをでかい鞄に詰め込んでたんだよね)で、コーヒーでも飲みながら一服して、そのまま長居するのも迷惑なので、場合によってはランチまで食べる。そこからやる気が出てくれば、外回り開始。と言っても、まだ店の中へは入らず、目星つけた店まで歩いて回ってみて、雰囲気で話聞けそうかどうか?自分なりの査定をして回る。その後15時頃からが本格始動して、店舗訪問。早いとその頃から店主が店に戻っている場合があったり、何時頃帰ってくる予定。などの情報も仕入れられる。店主が戻っていても話を聞けるのは半々くらいかな?すぐに聞けない状況でも『明日また来ても良いですか?』なんて言って、簡単なアポも取れる場合もあったりする。まぁレアケースだけどね。ほとんどは邪険にされて退散。まぁこれでも訪問した事実としてカウントにいれる。報告書には訪問店舗として書き、実績数に繋がらならなかったことを報告。とサボってはいなかったよアピール。
 うまく店主と話しできれば、大概は面白い話が聞けたりする。結構多かったのが、メーカーへの愚痴。電化製品も日々技術革新していて、昔みたいに切れた繋いだ、壊れた部品の交換などでは修理が効かなくなってきていて、ちょっと壊れたところだけ直したいのに、ユニットごと交換とかになって、修理代が馬鹿にならない。店側が損するわけではないけど、直接対面しているお客さんに申し訳ない。とか、だいたい街の店舗は基本的なメーカーが決まっていて、それが看板となっているわけだが、懇意にしているお客さんが、例えばテレビを買い替えたいとなっている時に他メーカーを検討してたりするとき、自分とこのメーカーの推せる部分が弱くて、強く推せないとか。まぁ他メーカーでも仕入れることは可能なので、そうする場合もあるが、仕入れ値が高くなるので、店の儲けは少なくて面白くなかったり、その後故障したりすると、部品を手に入れるやり取りが面倒だったりとか。
 そんな話をしながら世間話などして、気を許してもらえたら、新聞購読の勧誘をする。とは言え、そんなに簡単なものでは無かった。大概は「考えとくよ」で納められ、それまでいい雰囲気で話してたのに「もうそろそろいいかな?」って急にその場を切り上げられたりね。それでも話出来たわけなので、少し日を置いて顔出して、仕事の話やら世間話やらして「ところで先日お話しした購読の件・・・」と重ねていくと「しょうがねえなあ」なんて、契約取れることもあったりするわけで、っま営業なんて言うのは、どこもそんなもんだと思いますが。そんな感じで、夕方頃からそこそこ本気出して店舗回りをするので、社に戻るのは19時頃だったかな。他の同期の連中はほぼ先に戻っていて、先に退社している者もいたな。購読成約をとったり、記事を提出していたら、堂々と早めに退社できたが、そのどちらもできてなかったら、何らかの記事が書けるまでは早々に退社できる雰囲気ではなかった。
というか、まだ外回っている奴がいるんだから的な空気になっていたのかもしれない。ごめん、時間いっぱい一生懸命仕事してたわけでなく、勝手にフレキシブルな都合よい仕事時間に変えてたんですわ。この場で謝っておきますね。課長も遅くまで待たせてしまって申し訳なかったです。
 そんな感じで帰社後、その日聞けた街の電気屋さんの生の声を、ちょっとした囲い枠の記事に仕上げるのが、1日の仕事の締めくくり。だが、先に書いたようなメーカーや商品に対する愚痴は記事にしたところで、編集デスクに行く前に課長からボツとされる。というのは、ここの新聞の広告スポンサーは、ソニーやらパナソニック、東芝といったメーカーが主なので、スポンサーの悪口は書けないわけ。社会に出てすぐに、ちょっとした社会の構図を知るわけよ。新聞やTVが正しいこと言ってるわけじゃない。今じゃ当たり前の認識かな?ただ俺的には、そういった事情の、その裏や奥を読み取ることが面白いっって思ってます。とは言え、当時の俺はますます「そんなもんか」って舐めてかかることになる「どうせ嘘の世界なんだから、嘘でいいんだ」ってね。夕方までサボることも「それなりに成績上げていれば問題ないっしょ」ってね。
 購買成約についは、何度か通って仲良くなった店主に「今月成績ヤバいんで、1ヶ月だけお願いします。購読期間設定しないんで、来月解約してもらっていいんで」とかなりの裏技を使って泣き落とし。さらに地域の横のつながりを紹介してもらったりしながら、そこまでは言ってないのに「俺からの紹介と言えば、いうこと聞くから」って聞いてます。なんて、だいぶ盛った営業かけたりしながら、何となく例の部署に貼られている成績棒グラフは、常に1-2位をキープ。
 記事については「この時代に子供には継がせたくない」とか逆に「次いでほしいが、子供は他のことをやりたがっている、もしくはやっている」といった後継者問題や、「買い替え勧めたいが安いもんじゃないので、何とか自分が勉強して修理している」といった街の電気屋ならではの細かいホスピタリティー話は記事採用に繋がったりしたので、店主との話に出てきたら、こっちで思惑通りに話進めたり、ちょっと出ただけの話をそれっぽく脚色して書いたりしていたので、提出自体は問題なくこなせていて、それなりに採用されて記載されていた。でっち上げとまではいかないけど、やらせには近いことやってたかな。もう時効ってことで許して下さい。と、そんないい加減な記事でしたが、記事採用成績も1-2位を常にキープ。
 そんなわけで、外回り遅くまで頑張って成績も上位キープ。なかなか面白い新入社員入って来たんじゃないか。なんて噂されていたようでした。
 そうなると「こんなんでイイんだ。ちょろいな社会人」と勘違いして、更に舐め腐った態度で仕事?にのぞむようになっていくわけでした。

というわけで、今回はこの辺で。
次回
『社会人1年目を舐め切りながら満喫・・・それからそれから』
に続く。


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