窓際のおっさん21_臭いセリフに注意せよ_他人に頼るなバカになれ?(前編)
臭いセリフというものは、問題者を前にすると案外耳にするもので、連中は誰かの受け売りや物語上の一節など、なんとなく名言や決め台詞のように聞こえる一言を、自分に都合良く用いてくる。
以前「ヤツゴロク」という言葉を、ファミ通の中の漫画「ユウジローのふたつに別れて続いています」に乗っていたのを思い出したが、今日はその想いで記事を書き、考察してみる。
<他人の力ばっかり借りるな?>
さて、山ほどあるが、おっさんが臭いセリフを聞いた一例について体験を話す。
仕事の上司で「他人の力を借りるな」と言って怒る人がいたのだが、一体どういう気持ちで言ったのだろうか。このセリフは海外派遣(ラオス)の仕事に行く際に、現地での手続きの仕方や状況を、現地のリーダーであるその上司に確認しただけだったのだが、急に怒られて浴びせられた一言である。
会って間もない頃で、いきなり突き放され、訳が分からず困惑したのだが、何も準備せずにいても仕事にならないので、諦めて他の先輩達に色々と事情を尋ねて準備を進めた。事情をその先輩達から聞くと。。。
先輩A「彼は自分の力で達成してもらいたいと思っているだけだよ。」
先輩B「コンゾー君は、彼とうまくやっていけるかどうか心配だな。」
などと、言われたのを覚えている。
なるほど、察するにこのリーダーは、裏では教育指導を名目におっさんに厳しく当たっているのだと言い訳し、本心では嫌いな奴にイジワルしているのだなと理解するに至った。
実際現地に行ったら本当に難癖ばかり付けられていじめのターゲットだったので、予想的中である。
だがもし、ここで相手を悪く捉えず、真面目に「他人の力を臆面もなく借りるな」という台詞にまっすぐ反応していたとしたら、例えば
① なにか礼を失したかな
② 試しているのかな、よし自力で頑張ろう
③ 海外の仕事はそういうもんなのかな、仕方がない、何もせずに行こう
こんな風に捉えて空回りし、恥や不都合を重ね、結果として現地リーダーの思うつぼだったに違いない。
臭いセリフには臭いがある。香ばしいなと思ったら要注意だ。
<臭いセリフに隠された暗く乾いた内面>
海外派遣の仕事を知っていれば分かると思うが、海外は色々と物騒なので前情報を仕入れて身構えておいた方がいいのは言うまでもない。
素人が自力で策を講じるには限界があるし、現地組織の力を借りるのが効率的であるばかりか安全な選択だ。
しかしそんな危なっかしい場面に限って「他人の力ばっかり借りるんじゃんーよ」などと言われるのだから、世の中ままならないものである。
海外派遣中、臭いセリフとともに怒りを見せた人物の内情を観察してみると、更に真実にが見えてきた。意地悪をするためだけでなく、どうやら自分以上の存在が派遣されてくるのが気にくわないらしい。
おっさんが有能かというとそんなことはないのが、過去の他の派遣者との関係性などの経緯を見るに、きちんと勉強してくる人や提案してくる人に対して、とにかく警戒心が強かったようだ。そして、
「ラオスのことをあんまり調べてきてほしくないな、先入観なしで現地を見てもらいたいんだよ」
「お前なんてラオスのことなにも分かってないくせに」
「今ラオスはイケイケどんどんの時代なんだ、俺の世代の日本での経験が一番役立つんだよ」
こうしたセリフが何度も出てきた。
加えて毎度派遣される専門家の中で大概1名が悪者にされて喧嘩別れしているところを勘繰るに、やはり間違いなく、人間的に問題を抱えている人だと確信するに至った。
また同時期の仕事中、そのリーダーと仲が良く、他の組織では課長級をやっている男が居た。その男は何かあるとそのリーダーと一緒になっておっさんに辛く当たり、よくわからん理由で何度も説教してきた。
ラオスの置屋(いわゆる売春宿と繋がったキャバクラ)行きを断った件で「協調性が足りない」という話に始まり、当時を振り返っても、なぜ急に怒ったのか意味不明な現地解釈理論の挙句「君は現地への理解が不足している」などと、ぼんやりした事で、そこまで言うかと思う程大声で怒っていたのを思い出す。
終いには「なんで怒られているのか自分でよく考えろ!」などと同じく臭いセリフを吐いてきた。
やれやれこいつもか。。。
怒っている理由も分からないのか、怒っては見たものの怒る正当な理由がなかったのか、大概そんな時に問題者は「なんで怒られているのか自分でよく考えろ!」などと、お前が悪い、反省しろと言わんばかりに取り繕って叫ぶものだ。
派遣3か月中1か月ちょっとで「二度とこのプロジェクトとは関わらない」と心を決めるに至ったわけだが、かくも臭いセリフの裏には、何か人の心の暗く乾いた内面が潜んでいることが多いように思う。
少々脱線したが。。。
「他人の力を借りる」という行為自体には問題はない。そこに敬意と節度、借りた力の使い道が良ければ、むしろ貸す方も本来は嬉しいはずだ。
そこを気持ちよく貸せず、臭いセリフを返してくるのだとしたら、きっとその本人には問題がある。
次回に続く
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