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ウルトラセブンの前後編エピソードのあらすじの違い~適切な長さとは?

ウルトラセブンでは全49話中、3回前後編のエピソードが作られました。

  • 14・15話『ウルトラ警備隊西へ』

  • 39・40話『セブン暗殺計画』

  • 48・49話『史上最大の侵略』

前後編のエピソードは一種のお祭り回であり、通常のエピソードよりもスケールの大きい物語が展開されます。
前編の幕引きの仕方もそれぞれ異なりますが、キングジョー編だけはセブンの戦いの最中で次回に続く、という続きが激しく気になるような演出になっていました。

「つづく」が出るのは最終話のみ

この前編のクライマックスとその幕引きの違いは、後編の始まり方にもそれぞれ異なる影響をもたらしていました。


◆後編のあらすじの長さ

後編の冒頭部では前話のあらすじがダイジェスト映像と共にナレーションで解説されるのですが、キングジョー編と他二つのエピソードには大きな差異が見られます。
その最大の違いは、あらすじの長さです。

実際に後編のエピソードが開始されるまで、それぞれ以下のような時間となっています。

  • 15話『ウルトラ警備隊西へ』44秒

  • 40話『セブン暗殺計画』132秒

  • 49話『史上最大の侵略』122秒

キングジョー編は1分以内で簡潔なあらすじとなっていますが、他二つは2分以上も経ってようやく後編のエピソードが開始されています。
どちらもあらすじが前話のダイジェスト映像をかなり詳細に、長く流しているのでこんなに長くなっているのが分かります。

キングジョー編は前回の戦いの途中から再開ということもあったのでスムーズに進んだのでしょう。
そのためにキングジョーとセブンの戦いは3分半ほどとかなり長時間の尺で展開されています。

あらすじが長くなると、その分本編が割を食うことになり、そのためかガッツ星人編の後編はクライマックスにおける決着のつけ方がかなりあっさりとなっています。

ガッツ星人との直接対決はなし

◆昭和ウルトラシリーズの後編のあらすじの長さ

他の昭和ウルトラシリーズの前後編のあらすじの長さも比較してみましょう。
タロウのバードン回は唯一の前・中・後編の3部作となっていますが、もちろんあらすじがちゃんと冒頭にそれぞれあります。

  • ウルトラマン
    27話『怪獣殿下 後編』61秒

  • 帰ってきたウルトラマン
    6話『決戦!怪獣対マット』30秒
    14話『二大怪獣の恐怖 東京大龍巻』7秒
    17話『怪鳥テロチルス 東京大空爆』31秒
    38話『ウルトラの星、光る時』33秒

  • ウルトラマンA
    8話『太陽の命 エースの命』50秒
    14話『銀河に散った5つの星』27秒
    27話『奇跡!ウルトラの父』62秒

  • ウルトラマンタロウ
    3話『ウルトラの母はいつまでも』31秒
    5話『親星子星一番星』6秒
    18話『ゾフィが死んだ!タロウも死んだ!』88秒
    19話『ウルトラの母 愛の奇跡!』59秒
    25話『燃えろ!ウルトラ6兄弟』47秒
    30話『逆襲!怪獣軍団』37秒
    34話『ウルトラ6兄弟最後の日!』22秒

  • ウルトラマンレオ
    2話『大沈没!日本列島最後の日』87秒
    4話『男と男の誓い』66秒
    39話『レオ兄弟 ウルトラ兄弟 勝利の時』29秒

  • ウルトラマン80
    18話『魔の怪獣島へ飛べ!! 後編』29秒

初の前後編であるウルトラマンではほぼ1分程度で、前回のあらすじも要点だけを抜き出して内容・時間共にバランス良く解説をしています。

第二期ウルトラシリーズの新マンでは大体30秒くらいに収めてあらすじも簡潔にテキパキとしています。
それ以降も長さやあらすじの内容についてはムラがありますが、長くても1分半以内に収めようとしているのがはっきり分かります。

新マンのシーゴラス&シーモンス回のように、あらすじはほぼ省略で前回の終わりから直接後編の内容に繋げられるような回は非常に少ないです。
前編の幕引きと後編の始まりとの繋げ方が上手く調整できた、編集者の手腕が物を言うのでしょう。

新マン以降の前編の幕引きについては、どれもキングジョー編のように戦いの途中で終わるものなので、あらすじも簡潔にしやすかったのかもしれません。

セブンのエピソードも含めると、昭和ウルトラシリーズにおける前・後編エピソードのあらすじの長さは、平均すると『49秒』ということになります。


◆まとめ

セブンの前後編エピソードの中でドラマ・特撮・あらすじのバランスが一番良かったのは、キングジョー編だったと言えるでしょう。

最終話についてはあらすじこそかなり長くなってはいますが、ドラマの進行や特撮の見せ方がバランス良く構成されており、結果的に非常に完成度の高い名作になったと言えます。

しかし、ガッツ星人回については前編は文句なしの出来栄えですが、後編についてはあらすじの長さも含めてセブンが復活するまでの展開を引っ張りすぎており、そのためにクライマックスはセブン復活後はあっさり決着がついてしまって拍子抜けという印象が強いです。

セブン復活と逆襲によるカタルシスこそ確かに強いのですが、多数のファンは「ガッツ星人と再戦をして欲しかった」という声が結構多いです。

そのリベンジとも言えるのが、帰ってきたウルトラマンにおけるナックル星人回だったのかもしれません。あらすじは30秒程度と非常にベストな長さでまとめられているのも完成度の高さに貢献しています。

どんなに長くとも、あらすじは1分程度で終わらせるのが理想的なのでしょう。

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