45歳 剣道5段、恩師の八段に掛かる!
以前の記事にも書きましたが、
先日仙台に言った理由は
もう一つありました。
大学時代にお世話になった剣道部の先生が
今年度で御勇退されると聞きまして、
この機を逃せばもうお会いすることが出来ないかも、と思いましたので、
3月の連休中に先生に稽古をつけていただく計画を立てました。
八段先生との稽古は人生初です。
興奮してきます。
東仙台の叔母の自宅で朝食を食べている時から少し緊張していました。
あーだ、こーだ考えず
今日は捨て身で行こうと決めました。
とはいっても悶々としていたので、
駅前周辺を散歩することにしました。
知らない街を歩くのは
テンションが挙がります。
あの道曲がったら何があるのか、
あの坂をのぼれば、何があるのか…。
朝のキーンとした冷え込みが
脳を目覚めさせます。
少し体が覚醒してきました。
身支度を整えてから剣道具、竹刀、
剣道着に不備がないかチェックし駅に向かいます。
仙台駅で東北本線に乗り換えて30分ほど電車に揺られました。
見覚えのある風景ばかりで、
ノスタルジック全開に。
ちょっと涙が(笑)
途中、太子堂駅という見知らぬ駅に停車したので、あれ?間違えたかと
一瞬焦りましたが、
2007年に開業した駅らしく、
自分の卒業後にできた駅でした。( ;∀;)
そして思い出の駅「船岡」へ。
およそ20年ぶりです。
駅前周辺も知らないお店ばかりでした。
剣道部で一番初めにインターネットを開通させた自分が、初めて相談しにいったプロバイダのお店が移転していてビックリ。
いつも通っていた床屋さんも移転。
知っている商店街通りも道路拡張されて
かつての趣きが無くなっていました。
暑い夏の稽古終わりに行った かき氷のお店はどこへやら…。
剣道部の友人が足繫く通っていた
駅前の雀荘もない。
懐かしい、懐かしい、と歩いているうちに
母校へ。
先生の研究室のドアをノックしました。
心臓がドクドクしました。
「おー、入れぇ」
「先生、失礼します!」
奥の部屋から先生が顔をぴょこんと覗かせました。
「おー、久しぶりやな、元気やったか?」
「はい!」
変わらず元気な先生。
先生の研究室は後片付けの最中で、
がらんどう、としていました。
先生に手土産をお渡しした後、
お茶を飲みながら少し近況を話しました。
少しすると、後任の先生が引っ越し作業で
荷物を持ちながら
研究室へやってきたので、
この場を借りてご挨拶。
これも剣縁に感謝です。
「よし、そろそろやるか」
「お願いします!」
その為に東京から来たので、興奮と緊張に包まれながら剣道着に着替えました。
私は一足先に道場へ…。
今は冷房設備が設置されたのとLEDの蛍光灯に変わったとのことでした。
さあ、いよいよです!
先生も準備が整い、お互い神前に礼。
先生と礼、提げ刀から帯刀し3歩進み蹲踞。
切り返しから始まりました。
これ以上ない気勢でいきました。
「基本打ちお願いします」と面打ちを数本打たせてもらいました。
自分はもう息が上がりました。
「どうする?」と問われたので
「地稽古お願いします」と。
深呼吸を何度かしてから、
再び立礼から蹲踞まで。
立ち上がり発声!
やはり八段は風格が違いました。
構えた瞬間、もうこちらから入れない空気を纏っていました。
でもこれはお願いした稽古ですので、
自分から入っていかないと
ここに来た意味がないと思い、
こちらから一足一刀の間合いへ。
しかし、気迫に押され不用意に出た所を、
出頭面を打たれました。
もう教科書どおりの出頭面でした(笑)
気持ちがいいくらい。
その後のことはあまり覚えていません。
無我夢中の稽古でした。
15分~20分くらいでしょうか。
ひとつだけ覚えているのは
先生から有効打突を
ひとつも取れなかったことです。
面金にカスりもしませんでした。
稽古後はしばし放心状態でした。
この広い道場で先生との一対一の稽古は
剣道家として非常に幸せな時間でした。
先生のもとに行き、稽古後のご挨拶に。
「気持ちがふわふわした状態で打ってきてはいかん」
「打ちに行く直前の剣先が少し高いな」
「打ちきれ、打った後自分の胴を相手にぶつけるぐらいの気迫でこい」
「打った後はまっすぐ抜けろ、右にそれとるぞ」
先生の言葉は今の自分の悩みをすべて解決してくれるようで、またまた泣きそうになってしまいました(笑)
(40過ぎてから涙もろくなってきてます)
着替えが終わってからも剣道談義は続きました。学食で昼食を食べながら先生が赴任してきた頃の苦労話、先生の大学時代の話や昨今の大学事情等、興味深い話ばかりでまだまだ先生の話聞いていたいなあ、と思っていると
時間は矢のように過ぎていました。
午後は引継ぎの仕事があるとのことで、
先生と後任の先生にご挨拶してから帰路に付きました。
もっと稽古しよう、と思いました。
やはりそれしかない!
不思議なもので、こんなにきついのにまたすぐに剣道やりたくなるのは何ででしょうね?
剣道の良き思い出がひとつ増えました。
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