今の親父にはトムウェイツが似合う…
時期は過ぎましたが、クリスマスの話題を。
見出しの画像は10月に帰省先の青森で
体調を崩し、朝一で病院に運ばれている時のものです。
「青森までわざわざ来て、体調崩すってしょうがねえなあ、お前は」
ガハハ、と笑っていました。
こっちは体調不良のため、
言い返すこともできません。
そんな父も耳が遠くなり、
剣道の試合ではもう審判員もしていないそうです。
なにせ、時計係の笛の音が
もう聞こえないそうで。
値の張る補聴器も何回も紛失。
剣道一筋で生きてきた父ですが、
肉体の衰えには勝てないみたいです。
私が小学5年頃のクリスマスの話です。
私はサンタさんにメガドライブという
ゲーム機をお願いしておりました
(サンタに願いを託していた純粋な頃です。(笑))
クリスマスを控え日に日に高まる
メガドライブへの熱は、夢に出てくるほど。
そして迎えたクリスマス当日、
朝早くに父から
「今日は剣道の講習会だから、お前も来い」
と言われ、早朝から陰鬱な気分になりました。
泣く泣く稽古着に袖を通し、
防具を担いで父と会場へ。
道すがら車窓を叩いてくるボタ雪を
悲しい気分で見つめていました。
剣道段位7段の父は、意気揚々と舞台の上に立ち、マイクを握り、大勢の少年剣士の前で
剣道の基本から応用までを熱く語っていました。
「剣道はこんなにも素晴らしいものだ」
「剣道ってこんなにも楽しいものなんだ」
父の独壇場でした。
まるでライブを見ているような(笑)
他の先生方も「あの人に任せておけば」的な空気でした。
ただ、私は早く帰りたくて帰りたくて。
一刻も早く帰りたくて。
極寒の中での稽古でヘトヘトになり、
クリスマス気分ではなくなりました
講習会の締めの挨拶に父は少年剣士らに
「寒い中、お疲れ様でした、メリークリスマス!」
と笑顔で叫んでいました。
私にはその顔が
鬼
に見えました。
翌朝、サンタさんからメガドライブが届きましたが、このゲーム機を手に入れるまで長い道のりを歩いた気がしました。
欲しいものを手に入れるには我慢の時間が必要だ
子供ながらに学びました。
親父は剣道段位八段を目指し奮闘中です。
親父の剣は「試合剣道」です。
周りの先生からいつも言われているそうです。
勝ちたい、という所からの離脱が必要じゃないでしょうか、
そのことをいつか親父に話したら
「ふん、」と面白くない顔をしていました。
プライドを刺激されたのでしょう。
息子だから言えることもあるのです。
自然の摂理に逆らうことなく、
田園にひっそりとたたずむ案山子のような心境を望みます(笑)
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