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なつかしい絵本『ちいさいおうち』の魅力

こんにちは。
此島このもです。

先日実家に帰ってなつかしい絵本を何冊か読みました。

私はまだ字も読めないうちから本が大好きで、親が読んでくれた文章を覚えて読み聞かせの真似事をしていたそうです。

それくらい本が好きだったので絵本が幼い私の価値観を形成したと言っても過言ではない。ような気がしています。


そこで今回は幼い頃大好きだった絵本をご紹介します。

絵が可愛らしいですね〜


その名も『ちいさいおうち』。
作者はバージニア・リー・バートン。訳者は石井桃子です。

いま、大人になった私があらすじの説明をすると「田舎に建てられた小さな家があたりの開発に取り残されてしまい孤独な思いをする。しかし田舎に丸ごと移されてまた人間に住んでもらいめでたしめでたし」です。

これだけ見ると「あー都会=悪みたいな価値観に基づいて描かれた絵本かぁ……」とちょっとがっかりしてしまう方もいるかもしれません。

でも違うんですよ。『ちいさいおうち』の魅力はあらすじでは語り尽くせません。

この本の魅力はね、

四季ごとの自然の描写が豊か

なことです!!!


たとえばこちらをご覧ください。

春のページ

あ〜美しいですね〜〜〜。

文章の内容はもちろんですが、わきに添えられた鳥や花がいかにも春らしい。

そして文の配置が流れるように斜めになっているところに、時が流れて移り変わっている雰囲気が出ていませんか?!(1枚ページをめくるとそれだけで数ヶ月もしくは数年経過する絵本です。でも時の移り変わりをゆったり余裕をもって感じられるのはこの文章配置の柔らかな丸みのおかげ……かも?)

そして見開きで見るとね、この文章が描くゆるやかなカーブが右ページのイラストと調和してほんっとうに綺麗なんですよ〜〜!

ほぼ全ての見開きにおいて、左ページが文章右ページがちいさいおうちのイラストです。

このイラストも色鮮やかで丁寧な書き込みが美しいです。このままポストカードとかになってもおかしくないくらい。
春の緑はやわらかく、夏の緑は鮮やかに。そして秋は木々が赤くなり、冬はあたり全体真っ白になります。
場面ごとにメリハリの効いたイラストで変化を観察するのが面白いんですよね。

また、イラストの中の人間がそれぞれの場面でどう過ごしているのか見るのも面白く、幼い私が夢中になったのもよくわかります。


それからね、この本の魅力はもうひとつあります。
幼い私にとってとても大切だったポイント、それは

主人公の望みが叶っていること

です!

周囲が開発されて都会になってしまい、住む人もいなくなりぽつんと取り残されたちいさいおうち……その姿はイラストで見ても本当に悲しそうで、両側のビルに押しつぶされてしまいそうです。

ちいさいおうちは都会を嫌がり、田舎の花や木のことを夢に見ます。

それでも最後にはちいさいおうちは夢に見ていた田舎にそのまま移されて平穏な暮らしに戻ることができる、ほっとするストーリーです。


大人になった今は「そんなうまくはいかないでしょう」と思ったりもします。

でもやっぱり幼い私にとってめでたしめでたしハッピーエンドであることは譲れないポイントだったんですよね。ハッピーエンドじゃない本は嫌いでした。

怖がりだったので安心したかったんだと思います。


そういうわけでね、自然の描写が美しく最後には安心できるストーリーの絵本、それが『ちいさいおうち』です!

みんなも読もう!🏡🌷🌷🌳

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