いちばん好きな絵本 レオ・レオニ『フレデリック』
「ねえフレデリック、なにしてるの?」
ずっと「はんぶんねむってるみたい」な顔をしてぼーっとしている。まわりのみんなが冬にそなえて昼も夜も働いてるのに。
しばらくすると彼は話しはじめるんだけど。
今度はみんな眠って、フレデリックの話なんか聞かない。
あーあ。って思うけど 絵がかわいくて笑ってしまう。
じゃなくて。
これ眠っているんじゃなくて「色を感じているところ」なの。
どんなお話か、ちょっとだけ紹介してもいい?
冬にそなえて、食べものを集めるねずみたち。でも、フレデリックだけは別。「どうして働かないの?」と聞く仲間たちに 彼はおひさまの光や色、言葉を集めてるんだと答える。冬が来て、隠れ家にこもって楽しく過ごすねずみたち。でもだんだん食べものも尽きて、みんな暗い気持ちに。思い出したように1匹が尋ねる。「フレデリック、君が集めたものはどうなったんだい?」彼はせきばらいをするとー…
集めたおひさまの光や植物の色について話をはじめるのだけど。
仲間たちは、おひさまの光を感じてあたたかくなり「こころのなかに ぬりえでもしたように」色が浮かんで
最後に言うの。
「おどろいたなあ、フレデリック。きみって 詩人じゃないか!」
フレデリックは、眠っているようにみえて、フレデリックにしかできない仕事をしていたのでした。やるじゃん。
できないことが多すぎて時々苦しいわたしは(特にまずいのが日中起きていられないこと。眠すぎて病院いった) 思わず絵本を抱きしめてしまった。
サボることを許せってことじゃなくて(笑)こんなにかわいい見た目してるけど 役割をわかって果たしてるでしょ。かっこいいよ。眠たくても、みんなと同じことできなくても、圧倒的な何かがあれば。それが自分だと自信持って言えるようになれば。
この絵本は「人と違っても大丈夫」「芸術の必要性」についての絵本だってよく聞く。
作者レオ・レオニも言う。
※『スイミー』や『アレクサンダとぜんまいねずみ』の作者
わたしにとっては、おのれとは何者か知ることがもっとも根本的な問題です。
人にはそれぞれの個性と役割があるということ、そして芸術家として他の者が見えない者を見ることのできる人間がいることを伝えたかった。
もちろん解釈は自由。
わたしは「詩人じゃないか!」と言われて、フレデリックみたいに照れた顔で「そういうわけさ」って言えたら、もう上出来だなって思う。
あとね この本の見返し。
ベージュの 一見なにもないところをよくみて欲しいの。
なんて書いてあるかわかる?文字が書いてあるんだけど。
そう、Frederick Frederick Frederick…って書いてあるの!サインなの!
照れながらも、もうすでに芸術家としての、誇りがあって。
投げやりになってしまいそうなとき、いつもフレデリックのことを思い出す。フレデリックだったらどうするかな?って思う。
尊敬する人は?って訊かれてもピンとこないけど、尊敬するねずみならいるよ。
レオ・レオニが『フレデリック』のお話を思いついた時のエピソードも「睡眠」が入ってて好き。
ある日の午後、レオはアトリエに向かう石畳の小道で、レオの足をじっと見つめて固まるいる小さな地ネズミがいた。彼もネズミのことをじっと見た。するとネズミは不意にジャンプしてゼラニウムの花影へと消えていってしまった。それはあっという間の遭遇だった。その日はとても暖かく気持ちのいい午後だったのでソファで昼寝をすることにした。1時間ほどぐっすり眠り目が覚めた時、アトリエの棚いっぱいに並べられた自分のコレクションに目がいった。世界中を旅して手に入れた本やオブジェたち、自分にとっては大切なものだったが「なんて役に立たないものなんだろう」そう思った瞬間言葉が溢れてきた。
松岡希代子『レオ・レオニ 希望の絵本を作る人』より
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ちなみにいま銀座でレオ・レオニカフェやってる。
パンにケーキに紅茶にクッキー…かわいくてにこにこ。
『あおくんときいろちゃん』ソーダとかもある。
(た、食べちゃうの?)
イタリアのとあるレストランには当時「レオ・スペシャル」レオ専用の裏メニューがあったらしく。
アイスクリームとクッキーで作られたフレデリックのデザート。
こんな感じだったのかな。
(レオ・レオニおたく)(絵本はもうちょっとおうちにあるよ)
レオの誕生日は1910年5月5日。
今日で生誕109年だから、書きたかった。
いちばん好きな絵本はレオ・レオニの『フレデリック』です。
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