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ちっちゃなおばあちゃまとスイカのジュースのお話

夏が来れば思い出す。

田舎の親戚のおばあちゃまのこと。

とても可愛らしい方だった。


夏のある日、おばあちゃまの家に遊びに行った時

「暑かったでしょう。はい、これ召し上がって」

と出されたスイカのジュース。

スイカ大好きな私は嬉しくて勢いよく飲んだが、決して美味しいものではなかった。

赤いスイカの色をしているのに、スイカの味がしない・・・

なんとも言えない、奇妙な飲み物の味だった。

それでも “美味しくない” なんて言えなくて “美味しかったです。ごちそうさまでした” と笑顔でお礼を言った。

おかわりを勧められたけど断れなくて飲んだ私を、一緒にいた母たちは変わり者と思ったらしい。

違うんだって。

子供心に断れなかったんだって。

だって、おばあちゃまがせっかく作ってくれたのに、断れないじゃん。


多分その頃から気を遣う子供だったのだと思う。

先日スイカのジュースを店先で見て、恐る恐る買ってみた。

ここ何年か目にしていたけど、あの時の味が思い出されて買う気になれなかった。

あの時から、スイカはそのまま食べるものであって、ジュースにするものではないと思っていたから。

ところが、飲んでみたらスイカそのものだった。

やだ、美味しいじゃん。

なんだ、これなら早く買えばよかったと思うくらいだった。


どんどんちっちゃくなって、お勝手に立つには踏み台がないと炊事ができなかったおばあちゃま。

いつもニコニコの笑顔で、おじいちゃまと仲良しだった可愛いおばあちゃま。


夏が来れば思い出す。

ちっちゃなおばあちゃまとスイカのジュースのお話。


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