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まあ、茶でも一口

まあ、茶でも一口すすろうではないか。
明るい午後の日は竹林にはえ、
泉水はうれしげな音をたて、
松籟はわが茶釜に聞こえている。
はかないことを夢に見て、
美しい取りとめもないことを
あれやこれやと考えようではないか。

『茶の本』岡倉覚三:著 村岡博:訳 岩波書店

そう、あなたのかなしみを
すべて微笑につつんでしまい
さわさわと、一服点ててさしあげましょう。
とりとめもないことのやさしさを
すっかり忘れた人々は、
今日も心を置き去りにして
空模様さえ、気づかないのかも知れない。

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