見出し画像

密教の資格。密教との関係で顕教について

この瞑想する人noteの中では唯一のスピリチュアルな実践である金剛大乗における顕教について、密教実践の資格について、思索をメモしておきます。


文殊菩薩
金剛大乗の本尊

マガジン:金剛大乗(金剛荘厳)

関連note:


顕教の本質 ―― 顕教から密教へ

 この瞑想する人noteでは、顕教を「霊性(智慧・慈悲)、四無量心、慈悲、非利己的なエゴのない愛・愛他を、自分自身、自分自身の態度、行動、人生に適用し実践すること」としています。

またこのことに役立つもの、それが宗教であれスピリチュアルであれ、哲学や思想であれ、社会学、歴史、文化人類学であれ、生物学、神経科学、心理学それに文学や芸術であれ、他のなんであれ、自分にとって役立つと思われるものを学ぶことも、顕教・教学としています。


ヴァジュラバイラヴァ
画像引用🔗


 思索していて顕教の本質についてふと思ったことがあります。

 顕教の本質の一つは ―――「非利己的なエゴのない愛・愛他を実践する」ということの中に既に述べていることではありますが ――― 愛、慈悲、利他の意志においてはエゴを無くさなければならないということです。

仏教の用語を剽窃して表現すると、菩薩の意志・発願、菩提心ということです。

またバクティ・ヨガや、それにエドガー・ケイシー、シルバー バーチやニューソートなど米欧キリスト教圏スピリチュアルにある「自分の意志を虚しくして神の意志に生きる」「私の意志ではなくて、神よ、あなたの御意志が行われますように」「一なる神の意志こそが私の意志である」「自らの意志を神の御意志と一つのものにする」などと表現されている思想に通じるものだと感じています。内的な意識の体験においては。


 そしてこの顕教の実践において、一定の成果にある人のみが、本来は密教実践の資格があるのではないでしょうか?と感じています。


密教の資格

 この瞑想する人noteでは、密教を主に生命エネルギーの実践としています。また集中的な瞑想実践なども密教に含めています。

 本来は、顕教の実践において一定の成果のある人のみが密教を実践する資格があるとされるべきなのではないでしょうか。

愛・慈悲の意志においてエゴを無くすということであり、またその実践において喜び、歓喜があるということです。


密教実践における顕教の成果の利点について


グヒヤサマージャ・マンジュヴァジュラ(秘密集会 文殊金剛)
引用元:チベット仏教普及協会(ポタラ・カレッジ)、2017年春の密教伝授


 顕教の成果の利点について。

チベット密教の究竟次第やインド・ヨガのクンダリニー・ヨーガなど、生命エネルギーの実践の伝統では「心の浄化」「徳の蓄積」が重視されています。
「魔境」「クンダリーニ症候群」の予防のためにも重視されているようです。

今述べている顕教の実践は、伝統で説かれているのと同じ理由でも利点があるでしょう。


 また生命エネルギーというのは、人間の意識ー神経生理システムの中で、情動系とも関係が深いと考えられます。
情動というのは快、喜び、歓喜と関係しています。

「愛・慈悲の意志においてエゴを無くすということ、その歓喜」が情動系とも関係の深い生命エネルギーの実践に役立つと考えられます。

このことは「チャクラ」「気(生命エネルギー)」といった観点からも説明できるのではないでしょうか。


・チャクラとの関係

 生命エネルギーの実践の伝統では、チャクラというのが説かれています。

チャクラには低位(低次)のものから高位のものまであるとされます。
低位チャクラは性欲、食欲、感覚的な快楽、情動、肉体などと関係が深いとされます。
高位チャクラは精神性や「意識」、霊性と関係が深いとされます。

生命エネルギーの実践では、しばしば、低位チャクラを制御し、高位チャクラを重視しなければならないなどと説明されます。


この低位チャクラの制御と高位チャクラの活性に「愛・慈悲の意志においてエゴを無くすということ、その歓喜」という顕教の成果が役立つと思われます。


・気(生命エネルギー)との関係

 生命エネルギーの実践をする人達の中には、「気(生命エネルギー)が下降してしまう」とか「気が上昇する」と奇妙なことを言う人がいます。

このような人達の言う気の上昇や下降というのは、中国の健康気功や中医学(中国伝統医学)などの気の活動についての説明や、「のぼせ」、「上気」とも違います。

そうではなくて、意識性、精神性との関係が深いもので、身体的な感覚という面だけではなくて、「内的な感覚」といった要素が強いようなものだと思われます。

たとえば、性欲や食欲、感覚的な快楽や、鈍重さ、タマス的要素の方に心が向かうと「気が下降する」と表現されます。
また瞑想やプラーナヤーマ(呼吸法)、ムドラー、バクティ、ヤマ・ニヤマ、徳・慈悲利他の実践で「気が上昇する」とされます。


 生命エネルギーの実践では気は上昇した方が良いとされます。
これは述べたように中医学などの説明や「上気」や「のぼせ」とは違った実践・説明体系によるものです。

さらに、「ウダーナ気の活性化」「アパーナ気の制御もしくは逆流」などのインド・ヨガの用語による説明が加わることがあります。

こういった気(生命エネルギー)の上昇や「ウダーナ気の活性化」「アパーナ気の制御、逆流」ということに、「愛・慈悲の意志においてエゴを無くすということ、その歓喜」という顕教の成果が役立つと思われます。


関連note:道次第の考察 ―― 顕教と密教、生命エネルギー、生起次第、究竟次第