臍下丹田について。チャクラとの対応
健康法や武術などで下丹田(臍下丹田、気海丹田)の重要性が説かれています。
しかし丹田とは何か?実体はあるのか?正確な位置はどこなのか?については、諸説あり混乱することもあります。
丹田についての私見です。チャクラと対応させた意見を述べてみました。
チャクラについて↓↓ 「瞑想する人のチャクラ論 」
瞑想(座禅)、武術、歌唱、呼吸法などにおいて
瞑想、座禅、武術、歌唱、呼吸法などにおいて「臍下丹田を意識」「気沈丹田」「丹田(腹式)呼吸」などと言われています。
このような場合には、明確な実体のあるものとして丹田としているわけではないように感じます。
大ざっぱな概念、意味合いのようなものに思われます。
体幹、姿勢、重心、発声、呼吸を安定させたり、心を落ち着けたりするなどの方法として、「共通認識」のようなものとして述べられているように感じます。
呼吸法の場合も同様に、深い腹式呼吸の方法として丹田という言葉が用いられているように感じます。
その他「丹田」という言葉が用いられている場合には、おそらく大抵は、明確な実体のあるものを指して用いられているわけではなくて、東洋の伝統において曖昧さがありながらも説明上便利な概念として用いられているように感じます。
健康気功、グラウンディング
中国発祥の気功などの健康法では丹田とは「気」の集まる場所とか、発生する場所などとされます。
健康上重要な場所とされ「意守(意念)丹田」(丹田に意識を集中)することが重視されます。
スピ系の実践なのか何なのかよく分からないのですが、「グラウンディング」というものがあります。
地に足をつける、現実にしっかり根ざす、身体感覚を大切にする、というようなもののようです。
このグラウンディングでも下丹田が重視されることがあります。
これら気功やグラウンディングなどでの丹田の場合も、明確な実体があるものというよりかは、説明上便利な概念の要素が強いように感じられます。
これらの実践で説かれている性質や効果を見て、チャクラに対応させると、この場合の丹田は第1~第3チャクラ(ムーラダーラ、スワディシュターナ、マニプーラ)が合わさったもののように感じられます。
密教(生命エネルギーの実践)において
小周天で有名な内丹(仙道)でも丹田が説かれています。
日本語での説明の場合には、ヨガやチベット密教においても丹田という言葉が登場します。
この場合の丹田は、今までのと同様に実体のあるものと言い切れないのですが、実践上は明確さもあります。
下丹田(下腹部)は内丹(仙道)の「陽気」、チベット密教で言う「ツンモ」が発生するところだからです。
ヨーガではアパーナ気とプラーナ気(とサマーナ気)を合一させて、エネルギー、熱を生じさせる場所とされます。
・意守丹田 ―― スワディシュターナ
内丹(仙道)では意守丹田、つまり丹田に意識を集中(意守)させ「陽気」という生命エネルギーを生じさせると説明されます。
意守の場所は会陰部、へそ、みぞおち、胸の膻中(だんちゅう)というツボなどとされることもあるのですが、一般的には下丹田です。
この内丹で意守丹田という時の丹田は、主にスワディシュターナに相当すると私は考えています。
マニプーラが下丹田に対応するという考えがあったり、クンダリニー(クンダリーニ)が眠るとするムーラダーラが重視される考えもあるのですが、直接的に対応するのはスワディシュターナであると考えています。
チャクラに対する私の考え方は、ムーラダーラは生命エネルギーが現れる上での基礎となる身体の神経生理の活動力、駆動力、衝動力を意味しており、生命エネルギーの顕現自体に直接関係するのはスワディシュターナであるというものです。
マニプーラは生命エネルギーの活動が、人体の神経生理において、より明確に確固たるものになった段階であると考えています。
・四輪三脈説 ―― チベット密教
ヨーガやチベット密教の各派、各修行法ではチャクラの数や位置に相違があり諸説あります。
チベット密教では四輪三脈説がとられることもあります。
四つのチャクラと三つの脈管(生命エネルギーの通り道、ナーディ)です。
この四つのチャクラの位置は、へそ、心臓、喉、頭部(頭頂もしくは眉間あたり)とされます。
さらに会陰部付近に「秘密処」というものを設定することもあります。
「へそのチャクラ」でツンモ(チャンダーリーの火)が燃えると説明されます。
この「へそのチャクラ」も主にスワディシュターナのことであるか、もしくはスワディシュターナとマニプーラの両方の段階に相当すると私は考えています。
関連note:チベット密教ツンモの実践に関係あるという意見も? ヴィム・ホフ・メソッドの呼吸法 ↓↓
・任脈、督脈、衝脈の源である胞中
中国伝統医学では経絡という気の通り道が説かれていて、主に各臓腑に対応する「正経」と、少し謎めいたところがある「奇経」に分類されます。
この奇経には任脈、督脈、衝脈が含まれ、これらは「一源三岐」といって、これらは皆下腹部内の一つの源である「胞中」より起こる、とされます。
この胞中には諸説があり、膀胱のことであるとか、精巣や子宮のことであるなどという説があります。
(中医学だけでなく内丹・仙道においても重視されている任・督脈の源が膀胱って言われてもなぁ、。)
生命エネルギーという観点では、この胞中は、直接的にはスワディシュターナの特徴に相当するか、もしくは、スワディシュターナをメインとして、ムーラダーラやマニプーラの特徴が合わさったものに相当すると考えています。
関連note:ヨガや気功、経絡、経穴などについて ↓↓
・腎間の動気
中医学、漢方では「腎間の動気」というものが説かれています。
これは「命門」の働きと関係があるという意見が古くからあります。
他には腹部の動脈の拍動のことであると主張する人もいるようです。
内丹(仙道)の実践者の中にもこれに言及する人があり、下丹田で発生する気、陽気(真陽)のことであるという意見があります。
内丹のような生命エネルギーの実践においての腎間の動気の場合には、スワディシュターナやマニプーラに関係するものだと感じています。