「Love Letter」は全く色褪せない名作だった
久しぶりに岩井俊二監督の映画「Love Letter」を観た。大まかなあらすじは覚えていたが、細かいシーンを忘れていて新鮮な気持ちで楽しめた。約30年前の作品なのに、ほとんど古さを感じないことに驚いた。時代を感じるのは手紙のやりとりやタバコが普通なことくらい。
Love Letterを観ようと思ったきっかけは、「地面師たち」のハリソン山中役が記憶に新しい豊川悦司さん。豊川さんと言えば、ドラマ「愛していると言ってくれ」や「青い鳥」の静かで美しい青年役のイメージが強い。昔の作品を改めて観てみようと思った。
恋人を亡くした渡辺博子を側で見守る秋葉(豊川さん)は関西弁で話す少しひょうきんな役どころ。ハリソンとのギャップがすごいかと思ったが、静かな中に狂気を秘めたハリソンの素質は豊川さんの中にずっとあるのだなと納得した。
博子と藤井樹の二役を演じる中山美穂さんが美しくチャーミング。学生時代の樹役、酒井美紀さんも瑞々しい。周りの同級生には時代を感じるのに、2人のヘアメイクは今見ても違和感がないから不思議。
男性の藤井樹の学生時代を演じる柏原崇さんは、仏頂面で不器用なキャラクターと端正な顔立ちが魅力的。見ていると甘酸っぱく切ない気持ちになる。
最近観た「青春18×2 君へと続く道」でジミー(シュー・グァンハンさん)とアミ(清原果耶さん)が観に行くのもこの作品。日本に来たジミーは一面の雪景色の中、Love Letterのラストシーンのように「お元気ですか」と叫ぶ。
Love Letterが約30年の時を経ても色褪せないのは俳優、スタッフが作品の魅力をよく理解した上で作っていて、それが私たちに伝わるからだと思う。今面白く観ている作品も数十年経った時、また新鮮な気持ちで観ることができるだろうか。
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