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「だらけてしまう」をやり尽くしていい
本当はやらないほうが良さそうだけどやってしまうこと、が日常には転がっている。
例えば、資格試験を控えているとき。
本当は資格勉強をしたほうがいいと思いつつ、ついついやってしまうことがある。
SNSやYouTube、ゲームやマンガ、飲み会など。
そういった本当はやったほうが良いだろうことを差し置いて、本当はやらないほうが良さそうなことをやってしまう。
中学や高校の定期テストの前に、気付いたら部屋の片付けを始めてしまうのは、青春時代のあるあるだ。
なぜ、あの時だけ部屋を綺麗にするのに力が出るのか。
学生時代の永遠の謎である。
そのようなことが学生を終えて社会人になっても、きっとこの先歳をとって老人になってもあるのだろう。
あるのだろうと思う。
つい最近まで、僕自身も本当にやるべきこと・やりたいことに手がつかず、やらないほうがいいことにでが出てしまっていた。
家に帰るとさっきまでのやる気はどこへやら。
ソファに座るとふかふかのクッションに、活力が吸い取られていくようだ。
不思議だ。
そうして、スマホを取り出してSNSを徘徊したり、YouTubeを開いたりしてしまう。
あるいはスマホゲームのアプリを気づいたらタップしている自分がいたりする。
そんなことをここ一ヶ月くらいやっていた。
「やっていた」という言葉じゃあ生ぬるいかもしれない。
やり尽くした。
家に帰ってやる気が出ないとなったら、ひたすら気の向くままにだらだらとした。
先週あたりはスナック菓子やチョコレートを買い込んで、つまんで過ごすという日々を送った。
我ながら文章にしてみると酷い暮らしだ。
本当は文化的に、本を読んで過ごしたいなぁと思ったりしていた。
あるいは散歩などをして、風情ある余暇を過ごしたいなぁと思っていた。
家に着く手前までは思っているのだが、家に入った瞬間、前述の通りだ。
しかし、昨日、急にその日々に終焉が訪れた。
SNSもYouTubeもスマホゲームも面白いと感じなくなっている自分がいたのだ。
青天の霹靂だ。
そして、心から「本を読みたい」という想いが込み上げてきた。
本棚から本を取り出すと貪るように活字を追い、頁をめくり、あっという間に三時間をそうやって過ごした。
そうして一冊の本を読み終えた。
明日は何を読もうか。
それとも、文章を書き綴ろうか。
そんな殊勝な気持ちもむくむくと湧いてきた。
僕のだらだらライフは、呆気なく終わりを迎えたのであった。
このことから教訓として覚えておきたいのは、中途半端にだらだらするのではなく、「だらだらし尽くす」ということだ。
大抵、何かやらなければならないことがあるとき、「ゲームは一日一時間」のように制限を課してしまう。
そうすると、中毒症状から抜け出せない。
ぬかるみに少しずつはまっていくような、そんな気持ち悪さがある。
そうではなく、足をずぼっと突っ込んでしまう。
突っ込み尽くす。
すると、沈んで沈んで、最終的には沼の底まで足が届いて「なんだこんなもんだったのか」と抜け出せる。
下手に制限をかけてしまうと、腹八分目がいつまでも続いく。
「まだ欲しい、まだ欲しい」
という欲求が収まらない。
だから、毎日SNSを続けてしまうし、ゲームアプリを開いてしまう。
そうではなく、思いのままにやり尽くすのだ。
とことん沼にハマる。
だらけてだらけて溶けてソファに染み込んでしまうまで、だらけ尽くす。
だらけるなら溶けるまでやろうホトトギス。
そんな心持ちで自分に制限をかけることなく、だらけ切ることが大事だ。
何事も中途半端が一番良くない。
勉強したい。
本を読みたい。
筋トレをしたい。
その願いが本物なら、だらけたい欲望が枯渇すると必ず底には本物の欲望たちが横たわっている。
今僕は、その欲望たちにやっと足が届き、その沼にハマろうとしている。
本物の欲望たちに。
このゾーンに入ってしまえば、こちらのものだ。
しばらくは本を読む、文章を書くということを貪り尽くし、やり尽くすというフェーズに入る。
もちろん、そのうち「だらけたい」という欲望が顔を出すときが来るだろう。
しかし、そのときに変に制限をかけずに、やり尽くすということを僕はするだろう。
だらけたっていいのだ。
誰も僕がだらけていることにとやかく言ったりはしない。
だらけてはいけない、というルールはない。
法律はない。
マナーはない。
人の目を気にする必要もない。
だって、そこは僕の家だからだ。
焦る必要もない。
人生は誰かとの競争ではない。
各個人、一人ひとりがその人なりの幸せを見つけられれば人生というのはそれでいいのだ。
さあ、やる気が出なければ、その気持ちに任せてだらけ尽くそう。
だらけ尽くした先に、本物の願いがきらりと輝く。
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