子育てが一段落した(?)ワーキングマザーが10年ぶりに学会に参加して感じたこと
こんにちは。どたばたワーママ兼JTC勤務の売れないIT系研究職のこねころりです。
先日、子育てが一段落したということにして、10年ぶりに大きな学会に参加してきました。あまりに久しぶりすぎて、ドキドキを通り越して不安満載でしたが、結果的に忘れられない数日間になりました!
色々と気付けたことがあったので、忘れてしまわないうちにnoteに書いておこうと思います。
※ 子育てが落ち着いて、久しぶりに学会に参加してみようかな、と悩んでいる方が、たまたま本記事を読んで、前向きな気持ちになって頂けたら嬉しいです。
10年経っても大人はあまり変わらない
先日参加した学会は、国内開催で査読なしの、年に一回みんなが集まる業界のお祭りのような学会で、大学から、民間から、行政機関からと、様々なところから人が集まり、参加者は1000人を超え、4日間にわたって大いに盛り上がっていました。
この手の学会には学生の頃から、定期的に参加していましたが、開催地が遠方なことが多く、数日間は家を空けないといけないので、子供が産まれてからは参加できていませんでした。
今回、下の子が小学校に上がったので、「さすがに、もう大丈夫だろう」と思い、せっせと論文を書いて、夫に家事育児を丸投げして、10年ぶりに学会参加してきました。夫は「ワンオペだ〜」と騒いでましたが、子供がもう小学生なのに、なにがワンオペ…(-_-)
…いや、夫には感謝感謝です!
というわけで前置きが長くなりましたが、今回、学会でいろんな人に、10年ぶりにお会いしました。
…10年ぶり…お互い覚えてるかな…というより、たとえ10年前のことを覚えていたとして、はたしてお互い認識できるのか…
と、ドキドキしていましたが、大人って10年経っても(良い意味で)変わらないものですね。だいたいの方が、お顔を見れば誰だかわかるし(念の為、ネームプレートは常にチェック!)、話をしていても、とても10年ぶりとは思えない!10年経って肩書が立派になられた方も多かったですが、以前と同じように気さくに話をしてくださる方が多くて、本当に人間関係って風化しないんだな、と感じました。久しぶりにお会いしたみなさんに感謝です。ただ、10年前の私の若気の至りも全然忘れられてなくて…いつまでその話をぶり返すんだ…(爆)!
そんなわけで、久しぶりに行きたいところ、会いたい人がいたら、過ぎ去った年月を恐れなくても大丈夫なんだ!と思うことができるようになりました。学会に限らず、久しぶりに会いたくなった人にはどんどん会いにいこうと思います。
※ ただ、久しぶりに脈絡なく連絡すると「宗教の勧誘か!?」と思われないかが心配ですよね。悪徳宗教、滅すべし。
みんな、お互いの発信に耳を傾けている
とはいえ10年経って、私も少しは成長したのか、前までは気づかなかったことに、気づけるようになりました。
例えば、今回、いろんな人の会話を聞いていて、みなさん、普段会えない同業者の発信(論文、ウェブに公開されたレポート、プレスリリースなどなど)を、すごくよくチェックしているんだな、ということに気付きました。
私も、この10年間に細々と小さな会議に論文を投稿したり、発信をしていましたが、それを存じ上げて下さっていた方がいたり、10年前に発表した私の論文について覚えていて下さっていた方がいたりして、とてもびっくりしました。
正直、小さな瓶に手紙を入れて、大海原に流すような気持ちで、論文を書いていました。誰かに届くかもしれないと淡い期待はしていたけれど、まさか本当に小瓶の中の手紙を読んでくれていた人がいるなんて思わなかった。
それと同時に、私はちゃんと、同業者の方々の発信をしっかりキャッチしていただろうか、と反省しました。もちろん、最新情報のキャッチアップは仕事の一環です。ですが、業務に必要最小限の情報を機械的に収集していただけだったのではないだろうか。この発信をしたこの人は、どんな想いや思惑があって発信したんだろう、とか、このニュースには、◯◯さんが関わっているかな?とか、情報の向こうの人に、思いを馳せることまで、できていただろうか。
発信された情報に、より真摯に耳を傾けよう、海に浮かぶ小瓶の手紙を、しっかり手に取って、大切に手紙を読もう、そんな風に心に決めた学会でした。
アカデミアとビジネスとのギャップの大きさ
これはもともと認識はしていましたが、やっぱり学会に参加すると肌でビシビシ感じます。予稿集を眺めているだけとは全然違います。
分野によると思うのですが、ビジネスとしてニーズがありそうな(ようは、お金になりそうな)研究と、アカデミアで高く評価される研究には、かなりのギャップを感じます。
例えば、今回の学会で評価の高かった研究を、そのまま会社に持ち帰っても、「それってお金になるの?」とか「それができて誰が嬉しいの?」などと言われて、一蹴されてしまうかもしれません。一方で、企業研究はアカデミアのホットトピックからは関心がズレてしまっていて、アカデミアの人からの関心は薄そう。肌感でわかる(涙)。
学会に参加すると、どうしてもアカデミアのニーズに合わせたくなってしまいます。
しかし、私にお給料をくれているのは会社。アカデミアの成果をうまく活かして実社会につなげ、儲け話にできるように、ない知恵を絞ることを諦めてはいけないな、と改めて考え直すきっかけになりました。
いや、まあ、アカデミアのニーズなんて、天才的な研究者がこぞって取り組むので、9時5時なんちゃって研究員が手を出したら最後、調査だけでなにも出来ずに終わると思うので、やっぱり近づいちゃいけないわけですが。
それにしても、今回は実社会のニーズもいまひとつだし、アカデミアのニーズも全然反映出来てないネタで論文書いてしまったので…結構、居心地悪かったです(爆)。
くそー!次そこは!
そんな悔しい気持ちで帰還して参りました(涙)。
※ ちなみにこのブログはニーズ度外視で書いてます。読みゃわかるって?ですよね。気持ちいいですよね、好き勝手書くって。
やっぱり外に出て人とあう機会は良いですね
普段は強火のテレワーク激推し派の私ですが、やっぱり外に出て人と会う機会も良いものだと感じました。もちろん、小さなお子さんがいたり介護をしないといけなかったりすると、それなりの代償は払う必要がありますよね。なので、もちろん手放しで対面を推すことはできません。今回の出張の代償は、私ではなく夫が払ったわけですしね(笑)。
それでも、久しぶりの一歩を踏み出して外に出てみたら、得るものがたくさんありました!
それに帰ったら「おかえり〜!」って出迎えてくれた子供たち、めっちゃ可愛かったです
(*´ω`*)
おまけ:査読って?
査読とは、論文の事前審査のことです。通常、学会に投稿された論文は事前に審査がなされて、その審査に通った論文だけが発表されます。審査の厳しさは学会次第で、どの学会で発表された論文かで、その論文の質が推察できます。
これとは別に、国内では事前審査なしで、論文を書けば誰でも発表できる学会が開催されている分野が多いと思います。国内の同業者が各々なにをやってるのか共有する場、学生さんや新人さんの練習の場になっています。こういう学会で論文発表して、いろんな人から意見をもらって、内容を英語に書きなおして、査読のある海外の学会に論文投稿する、という流れが多いです。私の周りでは。
ちなみに査読はその分野の研究者がボランティアでやっています。なので、査読を英語ではpeer reviewといいます。査読の結果は査読者のコメント付きで返されますので、とても勉強になります。査読者の名前は明かされないので、お礼が言えないのが残念なところです。(かわりに査読を頼まれたら積極的にお引き受けしたいところです。)