アタマの中がぐちゃぐちゃになった本 【よろこびのうた】
「これ、読んでごらん。」
その本を頂いた私は、実はその日のうちに読みました。
本を読みながら私の顔も、頭の中も涙と鼻水でぐちゃぐちゃになり、すぐには感想を書くことができなかった。
読んでみて、何が本当の正解だったのかもわからず考えるばかり。
再度、日を変えて読み直しました。
二人の老夫婦が田舎で生活する様子はとてもかわいらしくて、温かくて、周りの人たちとの繋がりも、集落という一種の大きい家族のような形に見えました。
ただ、途中から、少年に対して行った行為に困惑してしまいました。おばあさんの純粋な思い、でも、本当は心の中で苦しみに悶えている様子が何とも言えず…読んでいてとても胸が締め付けられました。
また、集落の中で描かれている人と人との距離感が興味深かったです。
過疎化の進んだお年寄りの多い集落だからこその距離の近さ、連帯責任のような共感は、そこに正解など存在しないのではと思いました。
となりの○○さん。
あそこの○○さん。
集落で生まれ集落で育ち、集落で終えていく。それを誇りとも思うからこそ、集落の人間は大きい家族なんだと。温かさを感じる反面…
(そこで一人でも反対していたらどうなっていくのか)
誰も反対せず協力したところに、この集落の温かさと怖さを感じていました。家族ではない、繋がりの深さ。
(人の為にどこまでできるのか)
最終的に二人の出した答えが、正解なのかもわからない。
死を選択した二人がやりたいことをめぐるシーン、まるでデートしているようかのように、あまりに楽しそうで、どうにか二人を救えないものか苦しくなりました。
最後に…。
「地獄に落ちるわ」と、そう会話する辛い話のはずのシーンが、「二人で死ねる幸せ」という、溢れる愛で満たされていて、わたし、読んでいて悲しいのに、もう、頭の中も心もぐちゃぐちゃに…
(幸せにどうか逝ってほしい…。)
そんな風に思ってしまいました。
これから確実に増えていくであろう、老老介護。
患ってしまう人の数が多くなるであろう、認知症。
そして進むであろう、限界集落。
誰のところにでも起こりえること。
けれど、そこに愛する人、自分のことを理解してくれる人がいれば何もいらなくて幸せなはず。
モノがたくさん溢れた今世。つい、大切なことを忘れてしまいます。
全ての欲を捨て、今一度、周りの人へのやさしさや思いやりを。
近くにいる愛しい人と、普通に毎日を過ごせる幸せを。
愛する当たり前のことを、忘れずにしたいです。
ぐちゃぐちゃにしてくれて、ありがとうございました。よろこびのうた、読んで本当に良かったです。
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