寺田蘭世さんのお店=HONEY ROSIE HOUSE でおしゃれをしよう!〔前編〕
いてもたってもいられなくなり、熱量1つで文章を書ききってしまう時がある。寺田蘭世さんの活動を私の視点で捉えただけの主観的な来店記に過ぎないが、一編につき5000字ぐらいなので読んでいただけるとありがたい。
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今を去ること2年前の2021年12月。寺田蘭世さんが乃木坂46を卒業した。彼女のラストライブには、約8年半の寺田蘭世がこれでもかと凝縮されていた。
急に現れた真っ赤な "その女" が異様な流れを生み出し、満を持して放たれた真っ白な "ブランコ" が約8年半の成長をありありと示し、最後は赤をベースとしつつも多彩極まるドレスに身を包み、アイドルの境界線を越えていったのだ。
蘭世さんは卒業と共に芸能界を引退する。私はもうその活動を追いかけることができないが、寺田蘭世のこれからの人生に幸あれ……。
……というのがざっくり前回までのあらすじだったわけだが、
新展開、とっくに始まってます。
寺田蘭世さんは確かに芸能界から退いた。しかし、人間・寺田蘭世としてのやさしい戦いは何も終わっていなかった。なぜ、忘れられないんだろう?などとしんみり浸っている場合ではない。新たに覚えることがわんさかだ。
年が明けての2022年。
乃木坂46のブログは消えても、蘭世さんのInstagramは消えていなかった。あれは蘭世さんが個として求めたものであり、なんとなく消えない気はしていた。卒業後しばらくは夏休みを取るとおっしゃっていたので、たま〜に何かあがったら嬉しいな……くらいの考えで日々を過ごしていた。すると嬉しいことに、たま〜にちょっとした言葉やらがInstagramに流れてくる。
私としてはもう、それだけでも十分ありがたかったのだが、
!!
ま、まだ予告だ。まだ慌てる時間じゃない。早とちり的な、あるいは急かすような反応はしたくないので、私はなるだけジッと待っていた。寺田蘭世がじっくり動くなら、じっくり動くだけの理由がある。私は待った。そして遂に、
蘭世さんの宣言を聞いて私は大いに驚いた。寺田蘭世とはおしゃれをこよなく愛する人だ。アイドル卒業後はおしゃれの道に進む。全てのファンがそう思っちゃいたのだが、歩こうとする道があまりにも蘭世過ぎるのだ。
セレクトショップ。
蘭世さんの考えるそれは、自ら世界を自由に渡り歩き、向かった先でアイテムを手に入れ、神出鬼没に各地でお店を構えるという代物だ。幼い頃から古着屋に出入りしていた蘭世さんが、自分の眼と足を頼りに古いものやら新しいものやらをいろんなとこから仕入れてきて店を開いて人と向き合う。ならば私にとってもこの店は、ずっと望んでいたものの先にある。
理由①:個人イベント
かつて乃木坂46に在籍していた伊藤万理華さんが個展を開いたとき「あ、そういうのあるんだ」と興味を惹かれて見に行ったことがある。そのときから漠然と、蘭世さんも蘭世さんなりの形で何かしらのファッションイベントが立たないものかと想っていた。だが蘭世さんのおしゃれへの意欲とは裏腹に、アイドル活動中にその何かが実現することはほぼなかった。
理由②:乃木坂世界旅
かつて、乃木坂メンバーが世界を旅する企画があった。蘭世さんもたいそう乗り気だったのだが、例によって例のごとくそうそう選ばれるものでもない。そうこうしている内にコロナ禍が蔓延して自然と企画自体が消滅した。蘭世 × 世界をぜひとも観てみたかったので、無念であった。
2年前に蘭世さんが卒業を発表したとき、観てみたかったあれやこれやを想い哀しくはあった。ただ、まあ、何事も諦めが肝心だ。
その後しばらくしてラストライブと写真集を目の当たりにし、私はそれを1つの落としどころにした。①やら②やらは仕方ないと思ったわけだが……、
そういえばその女は寺田蘭世だった。
あ〜、叶えてはもらえなかったなー、残念、縁が無かったと諦めよう……じゃないんだよ。そんなわけがない。そんなわけがなかったのだ。やるんだよ。寺田蘭世ってのはやるんだよ。1人でもやるんだよその女は。
思えばアイドル時代は、不得手なことに挑戦することで高まっていた。ならばここからは、元からあったランゼロードを突き進むことが挑戦だ。はたから観ててもやりたそうなことは、アイドルを卒業した今だからこそ妥協しない。
いつかランゼブランドが誕生することを祈ってはいた。しかし私はまだ、この期に及んで蘭世さんのことを見くびっていたのかもしれない。蘭世さんは本気だ。自分が本当にやりたいことを丸ごと成すべく動いている。
パッと見わかるようなわからないようなネーミングに私はワクワクした。ベタではないが奇をてらいすぎてもいない。奥にあるものを知れば必ず納得できる。みんなが知っている、あるいはそれ以上の寺田蘭世が帰ってきたのだ。
セレクトショップのオーナーとして寺田蘭世の新たな挑戦が始まった。(今のところは)大っぴらには顔を出さない方針でやっていくそうだ。ご本人いわく "変なプライド" による方針だが、私としてはそれでも良きだった。蘭世さんがこれから何をしていくのか。それが何よりも気になった。
蘭世さんは未来を見据えて行動している。いつだかそう言っていた。
記念すべき第1回ポップアップ(出店)は、2023年の4/15〜4/16の東京(神宮)と決まった。チケット制の来店方式であり、蘭世さんが各地を回って集めてきたアイテムに加え、オリジナルのトートバッグを販売するという。もちろん当然言うまでもなく、行きたいと思った。うってつけとさえ思った。
というのも、私はかなり厄介な持病持ちであった。イベントの類いに混ざるのは中々億劫な肉体であり、それこそ万単位のファンを抱える乃木坂46のイベントともなると、そう多くは参加できていなかった。しかし、個人主催のセレクトショップに入るのはそう難しいことではない。むしろ非常に都合が良い。
私が長年に渡って見てみたかったものが遂に見られる。それどころかお買い物ができる。さあ行くぞ! HONEY ROSIE HOUSE!
……
…………
……………………
チケット取れませんでした……。
私のお手々はぷるぷるだったのだ。緊張により手が震えて震えて仕方ない。絶望的な入力の遅さにより何もかもが遅すぎた。試験問題や履歴書の最後の方を記入する際、お手々がプルプルしてしまうような私には荷が重すぎたのだ。
SOLD OUTから復活するパターンに賭けて深夜3時ぐらいまで粘り、一度だけチャンスがあったのだがそこでもスピード勝負で普通に負けた。
もちろん当然言うまでもなく私はちゃんと落ち込んだ。
そして痛感した。映像がメインコンテンツだった伊藤万理華さんの個展ともまた違う。集めたアイテムの量から逆算した日数しかお店は開かない。このお店は一期一会だ。期間内ですら同じ店にはならない。
寺田蘭世が踏み出す新たな一歩目に出遅れてしまった。置いて行かれたのだ。だが蘭世さんは言った。いろんなタイミングで何度も言った。
HONEY ROSIE HOUSEのコンセプトでもあるその言葉を信じ、ほんのちょびっとでも盛り上げるべくX(旧Twitter)で他人のホクホクツイートをヤケクソ気味にいいね・リポストしまくった。自分がいつか行くときの参考にしたかったというのもあるが、とにかく後ろ向きな気持ちにだけはなりたくなかった。
第1回のポップアップは盛況の内に幕を閉じた。次こそは……。次の機会が訪れたとき、今度こそ逃すまいと気を引き締めた。
そして時は流れて2023年8月。遂にその時が訪れた……が、
そんな気はしていた。
伊達に何年もファンをやってはいない。寺田蘭世という人間の性格上、第2回で東京を選ばない気はしていた。横浜あたりで止まってくんねえかなと淡い期待を抱いていたが、ちゃんとしっかり福岡までいった。
なぜならその女は寺田蘭世なのだ! なんにもブレちゃいない! 寺田蘭世ってやつはそういうことする! だから寺田蘭世はおもしろい!
蘭世さんの言う "置いていかない" とは、東京(及びその近郊)にいるファンにのみ適用されることではない。新参古参・中央地方・老若男女・日本人外国人……etc.の区別なく、全てをひっくるめた上で誰も置いていかない店なのだ。金を払ってルール守れるなら宇宙人でもOKではなかろうか。
私の中のハチワレが「心が2つある〜」とささやいた。あの蘭世さんがライブ会場の枠を飛び越え、各地を渡り歩くのは心から素晴らしいと思っている自分と、それはそれとして近くにいてくんないと困るという自分だ。
後者の自分は弱い自分だ。こんなクソほどつまらない自分は一刻も早く消し去ってしまいたい。だからこそいっぺん行っておきたい。
ならいっそ、行ってみるか……?
前述の通り、私には持病がある。長距離移動の負担がかなり大きく、いろいろと割には合わない。とはいえ福岡は私の故郷でもある。ワンチャン……。
第2回は見送ることにした。
悩みに悩んでギリギリまでお出かけの準備を進めていたものの、第2回はセレクトショップではないというのが決め手になった(オリジナルのTシャツを主に販売する)。しょっぱなの4月に「あのセレクトショップに行きたい」とかなり強めに思ってしまったことで、そうならざるを得なかった。
そんなこんなでまたも行き損ねてしまったわけだが、その間に「つらい」と感じることはあっても「つまらない」と感じることはなかった。
むしろずっと楽しかったまである。あの蘭世さんがやりたいことをやりたいようにやっている。無論、様々な苦労があるハズだが、試行錯誤しながら前へと進み続けている。私にとって、それを聞くのは楽しいことだった。
公式LINEが開設されたので、会員登録を行い年間会員になった。いろんな言葉が送られてくるので退屈はしない。それでいいと言えばそれでいい。
もとより私はおしゃれな人間ではない。ガンダムとかで育ったタイプの人間だ。人生で一番おしゃれに近かった趣味は、中学生の頃たしなんでいたレゴブロックとかそんなんだ。性別も体格も違う。寺田蘭世がこの世のどっかで生きていて、楽しくやっていることがわかるだけでも十分と言えば十分だったが……、
それでもやはり行ってみたいと思った。
初年度最後のチャンスが来た。HONEY ROSIE HOUSEの第3回ポップアップは、2023年の12/15〜12/17の東京(代官山)に決まった。
そして今回は抽選だった。
緊張しいのお手々ぷるぷる勢には朗報だ。複数の時間帯に応募でき、当たったら当たった分だけチケット代(550円)を支払う方式だった。
今度こそ何が何でも当てたいが、かといって当たりすぎてしまったらそれはそれで困ったことになる。あれやこれやと散々迷いに迷った末、もし全て当たったとしても責任を持てる枚数だけ応募した。
当たった……!
12月17日の日曜日。3日ある内の3日目の中盤以降なので戦果としては弱い方であり、あらかじめ取っておいた金曜日の有給休暇はただのお休みになったがもはやそんなことはどうでもよかった。行ける、行けるのだ……!
さあ行くぞ! HONEY ROSIE HOUSE!
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