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あなたのことばのファンです

「ことば」に、その人のひととなりが表れると思っている。

最近、あるツイートからブログを読んで、
「はっ!このことばの選び方や文章、とっても好きだ…!」と思った。
それがこちら。

このツイートは、横浜の個人書店さんの「本屋 象の旅」さんが、「本は港」というイベントに参加されたことに関して、店主さんが書いたブログの紹介だった。
文章を一部だけご紹介する。

こんにちは。昨日(5月28日)は、「かながわの面白い本屋と出版社が集うブックマーケット『本は港』」に出店させていただきました。

まずはご来場いただいた皆さま、どうもありがとうございました。おかげさまで、多くの方々に足を運んでいただきました。途中、入場制限で外にお並びいただく状況もあったとのことで、お暑い中わざわざのご来場、ほんとうに感謝しかございません。

イベント開始から終了まで、どのブースにもたくさんのお客さまがいらっしゃり、じっくりと本を吟味するというわけにはいかなかったかと思いますが、いろいろな本屋さんや出版社さんが並べたさまざまな本を、お祭りのように楽しみながらお買い求めいただけたのではないかと思います。自分のお店ではけして見ることができない光景で、出店者として参加しながら、幸せな気持ちに浸っておりました。(以下略)

本屋 象の旅「本は港」

こんなにもていねいに来てくれた方々への御礼、
運営スタッフの方々への感謝とねぎらいの言葉に加えて、
店主の方ご自身が思ったり感じたりされていること、
そんな気持ちたちをていねいでやわらかく、ここちよいと感じることばで書かれていることに、読みながらひとり勝手に感動してしまったのだ。

細かいところだと、
「ほんとうに感謝しかございません」で、
「ほんとう」をひらがなにするか、「本当」と漢字で書くかも、
意識するしないはともかくとして、その人が出ると思っている。
加えて、「いちばんの反省」をひらがなで書いていたところに、「あ、わたしもこの書き方好きかも」と思ったのだ。

いまこの文章を書いていてひらめいたのは、
もしかしたら、わたしが好きだと感じた理由のひとつとして、
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」に影響されているのかもしれない。

「ぼくはおっかさんが、ほんとうに幸になるなら、どんなことでもする。けれども、いったいどんなことが、おっかさんのいちばんの幸なんだろう。」カムパネルラは、なんだか、泣きだしたいのを、一生けん命こらえているようでした。

宮沢賢治「銀河鉄道の夜」

「けれどもほんとうのさいわいは一体何だろう。」ジョバンニが云いました。

宮沢賢治「銀河鉄道の夜」

「ことばが好き」なんて、こんな話はめったに他のひとにはしないのだけれど、
かつて覚えている限り、「ことばが好き」「メールやメッセージのことばってその人が出るよね」という話をして、
ふたりにだけ好意的なことばをもらったことをよく覚えている。

ひとりはライターの友人。
わたしにとって、おまもりのようなことばだ。
「その視点って編集者みたいだね。漢字をひらくとか考えるのって。」

もうひとりは、会社の元同期。
変に思われるだろうなあ…と思いながら話した結果、かえってきたことばは、
「わかる!わたしは”てにをは”とかも気になる!仲間だねー!」

個別で話すのは1,2回目くらいのときだったけれど、
「この人大好きだ!仲良くなれる!」と瞬間的に思ったのを、今でもよく覚えている。
彼女はもともと大学院でことばの勉強をしていて、会社を辞めたのち、
今は博士課程に入学して研究の日々と聞いている。

この文章を書こうと思ったとき、わたしは「てにをは」も大切にする元同期の彼女に連絡した。夏が近づくもう少し先の時期に会う予定だ。
どんな研究をしているのか、日々どんなことばを感じているのか。
お散歩を楽しみしながら、「このブログのことばが好きなんだー」ということも話そうと決めたのだった。

(追記:どうしても書きたくなったこと)
わたしは、自分たちのお店をもった中で、お店としての発信もしている。
その中で、今回の「本屋 象の旅」さんと同じくらい影響を受けていて、
「好きだなあー!こういうことば選びやことばをつかう姿勢を大切にしたいなあ」とひそかに思いつづけているのが、
塊根植物・希少植物の生産販売をしている「ユニークグリーン」さんだ。

こんなふうに、植物への愛と専門性の深さ、たまに表れる店主さんの日常がやわらかく共存している。
的確に植物たちの様子を伝える文章と、なによりリプライの中で、購入者の方々へのていねいな感謝やフォローのことばたちに、私も日々学ばせてもらっている。

ことばからにじみ出るのは、
知らず知らずのうちにその人柄が出ているからかもしれない。
あまり店主さんのことをよく知らないのに、ことば選びでファンになることもある。

奇遇なことに、紹介した店主さんと出会ったのは、
どちらもいろいろな出店者さんたちが集まるような展示会だった。
ご自身のお店の商品をていねいに大切に説明する姿に、
誰かへの声かけやメッセージに、
その道のプロとしての誇りと愛を感じて、何より一個人として、
私もこうありたいと思うのだった。

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