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“青い理想“は炎のようで -17才の帝国-

「子供っぽくて、甘くて、青い理想を」
実現できるかもしれません、と17才の真木くんは言った。


全5話のNHKドラマ『17才の帝国』が最終回を迎えた。

AIを使った実験都市、ウーア。そのウーアの初代総理大臣としてAIに選ばれたのが17才の真木くん(神尾楓珠)だ。総理が一番若く、ウーアの閣僚は全員20代前後。AIを使用した新しい政治は、ヒリヒリするくらい真っ直ぐで、表裏がなく、危なっかしい。

「そもそも市議会って必要ですか?」

長年、市議会として活動していた人たちをAIでの幸福度を参考にばっさり切り捨てる。変わるために、良くしていくために、住民の幸福度を上げるために、必要な改革。その裏では仕事を失う人が存在する。
独裁政治になり得るのでは、と思いながら観ている視聴者の想いを代弁するかの如く「17才の帝国を作ろうとしているのではないか」と報じるニュース。良いバランスのドラマだなと思いながら観ていた。

そんなドラマの最終回で真木くんは語る。

「人々を幸福にするために僕に何が出来るのか。政治でそれが実現出来るのか。まだ僕に答えは出ていません。ただ、捨てたくない。ここで生きたいと思える社会を作りたい。その想いを、子供っぽくて、甘くて、甘い理想を…それはウーアでだったら実現出来るかもしれません」


仕事をしていてよく言われる言葉に「しょうがない」がある。
「どんどんみんなの意見を聞きたい」「提案してほしい」そう言っていたはずなのに、いざ提案すれば「昔からそうだから」「それは変わらないんだよね」等と言われる。八の字眉で、しょうがないよ、と。

何度も言われるうちに、言っても変わらないなと思ってしまう。そういうものだと思ってしまえば良くも悪くも所詮仕事なので割り切れてしまう。これは提案が出来る事項でこれは言っても変わらない事項だと判別出来るようになってくる。言っても変わらない事項はそのままグッと飲み込まれて表には出てこない。

だけど。
だけど、それだと何も変わらない。

最近新しく入ってきた人たちははっきりと口にする。「ここが良くないと思います」と。それに対して「そうなんだよね。でも、」と言いかけた自分にハッとする。わたしまで「しょうがない」で片付けるのか。そういう風に言われてきて嫌だったのはわたし自身じゃないのか。

言っても変わらない。
それでも、言わないと変わらないのだ。


真木くんの掲げる「青い理想」を青いなと思う程に、わたしも17才からは遠ざかってしまった。それでも平さん(星野源)も言っていた通り「でもこういう自分で戦うしかない」のだ。大人には大人のやり方というものもある。何度も吹き消されそうになるけれど、それでも青い理想を絶やさずに持ち続けていたい。持つだけではなく、叶えてこその理想なのだとも思う。

ひとまず、わたしは勉強をすることにした。資格を取って何かが劇的に変わるわけではないことは知っている。それでも勉強したからこそ言える意見があると信じたい。より良くしていくためにどうしたら良いのかを考え続けていきたい。まずは、身近なところから。

今日は靴を磨いてから外に出よう。
わたしたちは、まだまだどこへだって歩いて行けるのだ。

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