個人の特性を理解しながら、その人に合った環境を探す、あるいは作るということ。
ここ数日、東洋経済新報社の「ルポ・収容所列島」という本をゆっくり読んでいる。先月出たばかりの本だ。
僕は家族のことがきっかけで高校の頃から精神病のことに関心を持つようになり、社会人になってからは精神科病院に入院している人の面会にいくボランティアをやっていて(途中、コロナで行けない期間があったけど、始めてからもう4年くらいたった)、精神科病院事情に、一般の人よりは詳しいと思う。そこで働いている人よりは、疎いと思うけれど。
「ルポ・収容所列島」には僕がボランティアをしているNPOの人も取材されていた。
本人の意志に関わらず家族1人と医師の判断で入院が決まる医療保護入院や、長期間にわたる身体拘束による死亡事件、薬物依存の問題など、精神科病院のことをあまり知らない人からしたら、ぞっとするような話が多いと思う。
昨夜から読んでいたのが、発達障害と診断される子どもが、向精神薬を飲むことについての章。
子どもの頃から発達障害の診断をされて、向精神薬を飲むことになり、大人になってもやめられなくなってしまった人のエピソードに、学校で迷惑をかけてはいけないからと思って、最初に親が子供に薬を飲ませた、という話があった。
その話のなかで、岡山県倉敷市のNPO「ペアレント・サポートすてっぷ」代表で、ご自身も自閉症のお子さんを育てられたという安藤希代子さんの語りが、印象的だったのでシェアしたい。
(「ペアレント・サポートすてっぷ」は障害のある子の”親”を支援する団体。調べたらホームページがとってもかわいかったのでシェア。「理念・想い」のページの文章がとても優しくて読むだけで癒されました。)
個人を変えずに環境を調整する
個人の内面を変えたくないなあと思う。その人がしんどくなくいられるように、環境を調整したり、別の環境に移ってみたりできたらいい。
学校教育でも、会社でも、たいていは、環境に適応することを個人に求めていくことばかりで。その考え方に、慣れ過ぎてしまっているのかもしれない。
働きながら、(3年ほど前に)他の施設の見学に行かせてもらったり、ある国家資格の実習に行かせてもらっていて感じるのは、事業所によって考え方も、雰囲気も全然違うということ。
どこが自分の肌に合うか、というのも、いろいろ見ればわかってくる。
普段の仕事のなかでも、いろんな部署で、いろんな仕事をさせてもらっているおかげで、自分はこういうことはしんどいな、とか、この仕事のときはめちゃくちゃポジティブでいられるな、というのも見えてくるし、何が原因でそう思うのか、というのもわかってくる。
いろいろ試してみる、というのが大事なんだろうなと思う。
仕事で、勝手にいろいろ試して、今日はこの部屋で働きます!なんて自由にやるのは難しいに決まってるから、
たとえば、家からでもいいのかもしれない。
自分が自然体で、いい気分でいられるように、自分の部屋を整えてみるとか、余裕があれば、一人旅をしていろんなゲストハウスに泊まってみて、この部屋の雰囲気好きだなと思うものがあれば、自分の生活にも何か、アイテムを取り入れてみるとか。
自分に合わせて環境を調整する。
職場が合わないな、しんどいなと思ったら部署異動の希望とか、転職も考えてみる。
できることなら、職場の環境を、多くの人にとって心地いいものに変えていけたら、それもいいのかもしれない。
自分の得意、苦手や好き、嫌いを理解すること、それを大事にすること。
その習慣ができたら、次は、相手の得意不得意や好き嫌いを、行動や言葉から推測してみる。その人に合った環境を提案してみる。
僕の思い描く勝手な理想だけど、そうやって、それぞれが好きな環境でのびのびといられる世の中になればいいのになと思う。
たまには遠くを眺めてぼーっとしようね。