たまには、もっとゆっくりと。火曜日のLucha Libroで過ごしながら。
「私は、頑張りすぎていたな」
以前ぼくのnoteを読んで感想をくださった方が、そんなことを言っていた。
一生懸命にひたむきに生きることには大きな価値があるけれど、疲れたと思ったら休んだり、生活のペースを落とすことも同じくらい大事だ。体や心の声を聴いて、緩急をつけながら、なるべくそのときの自分にちょうどいいペースで、いつ突然終わるかわからない人生を進んでいけばいいんだろう。
中学のときに陸上で長距離走も走っていて、走る時にペース配分は考えていたというのに、生活のペースを緩めることの大事さに気づいたのは僕はずいぶんと遅い方だった。大学生も終盤にさしかかった頃だ。
当時はバイトを3つ掛け持ちしながら公務員試験の勉強をしていて、卒論のことも考えないといけなくて、充実していたけどあまりに忙しくて、ある時体調を崩してバイトを休んだ。
体を休めないといけないけど、ただ寝転んでだらだらすることも苦手だったから、横になりながら本でも読もうと、近所の図書館で気軽に読めそうな本を探した。
そのときに出会ったのが、辻信一さんという、スローライフを提唱した人の「「ゆっくり」でいいんだよ」という本で、それを読んで、がんばることが必ずしもいい面ばかりじゃないってことをやっと知って、怠けること、休むことも、同じくらい大事にしないといけないと学んだ。
大学卒業後に、3か月ほど留学したデンマークでも、午後3時ごろには授業が終わって、そのあとみんな好きなように自由に過ごすのんびりした校風に心地よさを感じて、帰国してからも、効率性を追求していくことの逆のあり方を伝えてくれるような本を、好んで読むようになった。
タンザニア人コミュニティなどでフィールドワークをしてきた文化人類学者、小川さやかさんの「チョンキンマンションのボスは知っている」という本も、そのうちのひとつだった。並外れた行動力を持つこの方は今何をしてるんだろう。久しぶりにこの人の本を読んでみたいと思っていたときに、今日、たまたまこの人の本を見つけた。奈良の、東吉野で。
「「その日暮らし」の人類学」」という小川さんの本には、辻信一さんの話も書かれていて、ああ、そういえば、辻さんの「「ゆっくり」でいいんだよ」で引用されていた「パパラギ」という本も、一昨年、佐賀の居心地の良い図書館でたまたま見つけて読んでいたなと思い出した。
本を読みながら、頭の中で、いろんな記憶が繋がって、ふんわりと心地よかった。
旅先の田舎街で過ごす穏やかな時間に、こんなゆったりした本たちに出合えるのは、どんなに贅沢なんだろう。
2回目の訪問
去年の秋に同僚たちと初めて訪れた人文系私設図書館、ルチャ・リブロに再び行った。だいたい10ヵ月ぶり。前に車を出してくれた人に、また連れて行ってもらった。
川を渡ったところにある古民家の図書館は、冬は閉まっているし、ほかの季節も、時々しか空いていない。そもそも、奈良県に住んでいても、車を持っていないとかなり行きずらい場所にあって、どれだけ心地よくても、頻繁には来れない。それがいい。年に一回くらいの頻度で、ゆっくりしに来たい。
奈良市から東吉野に向かう途中、宇陀市や桜井市の、田園風景を通る。
今月の頭にも、このあたりをドライブしていたのだけれど、こういう景色は、何度通っても気持ちいい。都市のコンクリートジャングルで生活しているときに、たまにこういう場所に身を置いたらもっともっと解放感を覚えられるだろうけど、そんなに都会でもないところに住んでいる奈良市民が奈良の南部に行くだけでも、心地よさはある。
建物の周りの環境や外観がとても魅力的で、図書館に入る前の時点ですでに70%くらいは満足してしまう。
入ると、本棚の位置が変わっているなど、去年とは内観が変わっているところがいくつかあった。それにしても、ここをやっているご夫婦がもともと持っていた本がほとんどだというのに、蔵書が充実していてすごい。いつか自分の家も小さな私設図書館のようにしたいという思いを、去年この図書館に初めてきたときに抱いたのを思い出した。
図書館で借りるばかりじゃなくて、時々は買わないといけないな。
平日なので自分たち以外にいたのは一組だけ。しばらくしたら帰っていって、それからは貸し切りになった。平日の、どこも店がすいてる時間に出かけられるのは、土日休みじゃない福祉現場の仕事をしている特権だ。ここ1,2年は特にありがたい。
ルチャ・リブロには、本だけでなく、漫画や雑誌も置いてあるから飽きない。今回も、2時間半くらい過ごした。東吉野を舞台にした漫画もあった。
「「その日暮らし」の人類学」」や、見ようと思ってDVDをレンタルしていたジブリの「コクリコ坂から」に関する本などを読む。草や土のにおいを載せた風がゆるやかに入ってくる窓の近くのソファに座って、時々木々を眺めて目を休ませながら。
ルチャ・リブロに関する本がいくつか店頭で販売しているので、帰りに1冊購入した。
また、家でゆっくりと読もう。
努力家の方も、頑張らないとどうしようもない状況にある人も、どうか時々はのんびりと、よい休みの時間を。