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子どもの創り出す世界観に引き込まれ、きゅんとした話。


夏が近づき、
だんだんと力強くなってきた日光の下で
ひんやりとした風が心地の良い日の出来事。

私は街が見渡せるような
少し高い川の堤防にさんぽに行った。


その日も土手からの眺めは爽快で、
遠くの山の緑色や、
澄んだ空の青色が視界いっぱいに広がり、
川へ目をやると、
みなもが太陽の光に反射してきらきらしていた。


綺麗な眺めに癒されて、自然と心が解放され、
深呼吸しながら思いっきりのび~~をした。

忙しない日常では忘れていた自分の感覚を、
少し取り戻したような落ち着きを感じた。

「たんぽぽがほぼ綿毛になってる!」って
日頃気づかなかった季節の変化にも気づいて
わくわくしちゃうような、
童心までも取り戻しながら歩いていた。

そう、その時の私は、
ものすごく心にも時間にも余裕があった!


そのお陰もあって、
この後とってもかわいらしくて、
あたたかい世界観に包まれた。


さんぽの帰り道、
住宅街を通りかかると
塀と車庫の隙間から、
一生懸命でかわいらしい、子どもの姿が見えた。

顔は見えなかったけど、
3歳か4歳くらいの男の子が
塀を使って車庫によじ登ろうとしているのか、
塀に片足を置いて踏ん張り、
車庫の柱に手をかけて上を目指している様子。

私も子どもの頃、よくやってたなあ
と思い出し、懐かしさを感じて
マスクの中で少しにやにや。
「がんばれ、がんばれ~!」と
心の中で密かに応援しながら
柱から少し離れた所を通りすぎようとした。

するとその子、突然登るのをやめて
そーっと塀から地面に降り始め、
身を隠すように隣の柱の陰にしゃがみこんだ。

「ん?もしかして
 私の存在に気づいて隠れた…?」
と不思議に思いながら歩いていると、

私の動きに合わせ、
私から見えない角度を保ちながら
じりじりと柱の周りを動き、見事に隠れている。

明らかに、こちらを意識して隠れている!!

それに気づいてしまったら、
こちらもその子どもの世界観に
じりじりと引き込まれていった。

登っているのを見られたくなかったのかな?
とも思ったが、
時々こちらを確認するように
柱から覗かせる顔は、
少し、にたっと笑っていて、
いたずらっぽい目をしていた。

なんとなく、

これは、、、

かくれんぼ的な、だるまさんが転んだ的な遊びに
誘われているような感じがした。
(というか私がしたくなっちゃったのかもしれない。)

私は少し歩くと、立ち止まって
「ん?誰かいる?」と言うように
身体をななめにしながら柱の方を振り返る。
そんな素振りを何度か繰り返す。


振り返って少し様子を見ていると、


柱からかわいい顔がひょこっと顔出し、
目じりを少し下げて笑い、また柱に隠れた。


これぞ、、、きゅん。

めちゃくちゃきゅんってした。

角を曲がって姿が見えなくなるまで、
繰り返し遊んだ。

遊び終わったところで、ふと、心の中で
「あぁ、友だちになりたい、、、」とか思う自分がいました。
こんな素直に思ったの久しぶり。

だけどそこで急に冷静になっちゃって、
いや、でも不審者だと思われちゃうかな、とか
色々考えて、結局話しかけはしなかったが、

あの路で、ほんの数分だったけど、


交わす言葉なくとも
かくれんぼが始まって、
あたたい気持ちに包まれた。


子どもが創り出した尊い世界観だったなあと、
そんな世界観を少しだけ一緒に楽しめて、
幸せだったなあ。
と、思い返してはまた癒された。



あの日のぼくありがとう。
車庫登りへの挑戦?を
お邪魔しちゃっていたのなら、ごめんなさい。
けがなく満足いくまで挑戦できますように、、!
勝手ながら応援しています!

にひひっ?

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