イタリア滞在記(11) 環境が人を変える
イタリアが何より大好きな日本人の私だが、ドイツにも同じようなイタリア愛が半端ない人が多くいるらしい。Kirstenもその一人。彼女とは4年前にチェファルのイタリア語学校で知り合った。
帰国後、学校の先生に勧められて彼女と週1回ビデオチャットをすることになった。彼女と私の共通語はイタリア語のみ。毎週末約1時間イタリア語を駆使して、1週間にあったこと、お互いのイタリア語の勉強方法や面白い教材があったときはシェアしたり… コロナのパンデミックの時期から2年は続いたかな。かねてからシチリアに住みたいとは言っていたけれど、コロナ禍が収まり始めた頃、遂に理想の家を見つけて購入。さっさと引っ越しを実行してしまった。ドイツの仕事はそのまま在宅で継続して、たまに会議のためにドイツに戻って参加するという生活スタイルに落ち着いてしまった。そして毎晩仕事が終わってから、近所のピッツェリアでアルバイトまで始めてしまった。ダブルワークを始めてから彼女は超多忙になってしまい、私たちのビデオチャットは終了してしまった。
そんな彼女を驚かせようと思い、なんの連絡もせずにある夜彼女の働くピッツェリアを訪問することにした。チェファルは狭い街。お店の名前を聞いていたので、Google Map頼りに難なく到着!私を見た時の彼女の顔と言ったら…(笑)面白かったな~ 一瞬間をおいて固くハグ。お店のマスターがお腹は大丈夫?と気遣ってくれたけれど、夕食はすませていたので、おいしそうなピッツァは次の機会にお預けにして、お客さんが少ないことを幸いに彼女が自宅に案内してくれた。
以前PC画面を通して自宅ツアーをしてくれたことがあったけど、こうして実際に訪問できると感慨もひとしお。古いアパートがモダンにリノベーションされていて、本当に素敵なお城。以前1匹だった猫が2匹に増えて、それぞれ好きな場所でくつろいでいた。遠くにロッカが見えるテラスは、この家で一番好きな場所だと言う。
すっかりチェファルに馴染んで、イタリア語も素晴らしく上達している彼女。機関銃なみのスピードで、これまでに起こった数々のエピソードを話してくれる。接続法の活用に一緒に頭を抱えた日々が、遠い昔のように思えた。
やっぱり現地に住んで、日々イタリア語を聞いて話して。彼女のように仕事まで始めてしまえば、それは上達速いはず。心なしか彼女の性格までが、以前よりずっとオープンに明るく変わってしまったように感じた。ドイツは暗くて人との距離も遠いからあまり好きじゃないと言っていた彼女の言葉を思い出して、環境が人を変えるというのは本当だなぁとしみじみ思った夜だった。
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