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イタリア滞在記(17) タオルミーナ ①

メッシーナから約1時間でタオルミーナのバスターミナルに到着。B&BのオーナーのEvelyneには車中から到着時間を知らせていたので、待ち合わせのPorta Messina へ。狭い歩道の微妙な上り坂が結構こたえる。

Porta Messinaは、Porta Cataniaへと続く1Kmに満たないタオルミーナのメインの通り(ウンベルト1世通り)の入り口。そこで笑顔で迎えてくれた小柄な女性が、Evelyne。重くて悪いからと固辞する私の手元から、「いいからいいから!」とスーツケースを引き取って、スイスイと人込みをかき分けてメイン通りから入った狭い道を進んでいく。それにしてもなんて小さな坂が多い街だろ。しかも急。山の上にあるシチリア有数の高級リゾート地。本当は颯爽とホテルにタクシーで到着するのが絵になるけれど、こちらシニア世代ながら節約必須の一人旅。とにかく体力勝負なのです。

B&Bまでの道すがら、メインの通りをはずれても可愛いお店がひしめいていて、どこも観光客で賑わっている。Evelyneが道で会う人や、仲良くしているお店の人たちに次々と挨拶しながら、私にお勧めのお店を教えてくれる。 

予約したシングルルームは、バスルームがとても素敵!シチリアらしい美しいタイルのゆったりしたシャワーブース、ピカピカに磨き上げられたシャワーヘッド。そして部屋も本当に清潔。ベッドサイドテーブルの引き出しを開けると、そこには耳栓まで用意されていたり。隅々までEvelyneの細かな心遣いが行き届いていた。

「何かあったらなんでも遠慮せずに言ってね!私は夜もここで寝ているから」とEvelyne。最近はオートチェックインのアパートメント形式の宿泊施設も多いけれど、オーナーが同じ屋根の下で寝起きしているのはなんとも心強い。それまで1カ月滞在していたアパートでは、誰とも顔を合わせることもなかったからか、やたら心が安らいだ。2晩の滞在だけれど、ゆったり気持ち良く過ごせることが確信できた。
到着した日はメインの通りを中心に、街の中を散策。

街中は本当に綺麗で可愛くて、リゾート地だなぁと実感する。
アマルフィ海岸のポジターノも高い所に位置する似たような街だったっけと懐かしく思い出した。

タオルミーナはやはり人気のリゾート地だけに、物価が高い。
レストランに入って軽く夕食を食べると、簡単に50ユーロは越えてしまう。サラダ・メインディッシュ・グラスワイン(1杯)・ミネラルウォーター
以上。。。なのに
例えばこんな感じ ↓ ↓ ↓

Sarde a beccafico, なすとポテトのロースト
美味しかった!

折角の機会、シチリアで美味しいものを食べたい!と思うも、折からの円安が本当に恨めしい。

朝は屋上テラスで朝食。Evelyneが用意してくれたカプチーノが美味しかったなぁ。そしてパンもプロシュートも。

夜はぐっすり眠れたけれど、少し移動の疲れもあってボーっとしていると、Evelyneが、
「私たち、何を話しているかわかる?」
と突然私に話を振って来る。
隣の席には、2年前までタオルミーナに住んでいらして、今は仕事の関係でローマ在住というイタリア人のご夫婦。Evelyneとは旧知の仲らしい。そして、
「私たちの話も、ちゃんと聞いて理解して!」
と言って笑ってる。
そうだった。到着したときに、
「英語、イタリア語、どちらで話しましょうか?」
と聞かれた時に、イタリア語を勉強中で、できるだけイタリア語だけで済ませたいと伝えていたのだった。それ以降、彼女は英語も流暢に話すけれど、私には英語を封印して、時には私の間違いを直してくれたり、その時々に合う言い回しを教えてくれたりと、私のイタリア語学習を鼓舞してくれていた。

そのご夫婦は、タオルミーナの物価が高くなったとぼやいていた。一方でEvelyneは、レストランで20ユーロ以上払うことはないと言う。恐るべし二重価格。地元民は顔パスのようだ。
2年前まではタオルミーナ住人だったにもかかわらず、今やしっかり上乗せの二重価格を支払わされれば、嘆きたくなる気持ちも理解できる。

観光客の落とすお金が主な収入源の街には、これは合理的な方法だと思う。
日本も二重価格を導入すればいいのに。高く支払っても、来たいと思う人はいるし、オーバーツーリズムの弊害を被っている地元の人たちにとっても、少しは精神的還元になるんじゃないかと。


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