銀杏並木すら遠く

誰と誰が付き合っているらしい
あの人は単位を落としそうらしい
実家がお金持ちなのに隠しているらしい

周りの人たちの話し声が遠い
風景は見えている通りか自信がない
椅子に座っているが感触は私のものなのだろうか

ぼんやりしてるけど大丈夫?
血糖値低くなってない?
飴あげるよ

さらっと手に落とし込まれた飴
ありがとうと言う自分の声
違うんだ
ごめんね
飴をくれた時に
友達の指先、爪、一瞬だけリアルに感じ取れた
でも一瞬だけ
なぜこんなにも私は疑い深いのか

全てと触れているはずなのに
本当に触れたと思えないのは
肉を介するしかない所為かもしれない

飴を正しく味わえますように

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