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コミネキ緑樹園

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今まで読み溜めてきた森林、樹木、木材から環境や生物、水資源等に関するまとめ
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#植物

緑の世界は果てもなく…

今年ももう12月。樹木に関する投稿を始めて1年が過ぎようとしています。 仕事の関係で足を踏み入れた緑の世界。 バックグラウンドとしての知識を身につけようとして始まった渉猟なのですが、改めて読書録を振り返ると森林をテーマとした文化史・環境史からスタートして、林業や建材、水利や生物の進化、街路樹の見分け方に雑草の知識など結構幅広く読み漁っていました。 今回の投稿はこれまでの読書録をまとめる良い機会となったのですが、内容を森林・植物に絞り、投稿日を二十四節気(月2回)にしてみ

死んでいるのに生きている? 樹齢1000年 樹木が送る長い生涯

私たちを取り巻く緑の植物… あまりに身近でありながら、あまりにも異なる存在です。 同じ世界に存在していても、同じように年月を経てことはできそうにありません。 人に関して言えば、現在では100歳を越えるような方々も珍しくなくなってきていますが、長寿な樹木は1000年以上も生きていきます。 人がここまで長く生きるのは無理ですが、なぜ、樹木はこんなにも長く生きられるのでしょう? 樹木は動物よりとても長く生きるだけでなく、老化もしないように見えます。例えば、10年生のスギの葉と10

植物と切り開く未来 その行先は?

人の生活に欠かす事のできない植物。 身近な存在と思いきや、なかなかに謎多きお隣さんです。 さて、その種類は一体どれくらいあるのでしょうか? 地球の植物の種類は名前がつけられているだけで約27万7千種。分類の仕方によっては30万にのぼるとも言われています。 普段から目にしている草木はほんの一部に過ぎず、毎年2000種以上の新種が今でも発見され続けているそうです。 人が活用している植物の種類は31,000種以上。その内、18,000種は医療目的。6,000種は食物。11,00

目や耳や脳を介さず感じる世界… 植物の静かで知的な生活

植物といえば静かに動かず穏やかで、芽吹いた場所に適応して生き抜いていく、環境に束縛された受動的な生物だと思われています。 が… これは本当でしょうか? 自由に動けなければ自発性がないのでしょうか? 目や耳を持たなければ、世界を認識することはできないのでしょうか? 発達した頭脳を持たなければ、考えることはできないのでしょうか? 知性を「生きているあいだに生じるさまざまな問題を解決する能力」と考えれば、明らかに植物は知性を持っています。 植物は外界からの刺激に対して適切に対応

緑が地に満ち 従わせ もたらしたもの

海の中に最初の生物が生まれ、光合成をするバクテリアが生まれ、そのなかから光合成の副産物として酸素を発生するシアノバクテリアが生まれたのが、今から約27億年前のこと。 やがて、光合成をするシアノバクテリアを体内に共生させた生物から植物が生まれます。 大気の中に酸素が満ちはじめると、上空の酸素が紫外線のはたらきでオゾンに変化。オゾン層が形成され、生物にとって有害な紫外線を吸収するようになると、酸素を使って呼吸をし、活発に動くことのできる好気性生物が生まれ進化していきます。生物の

緑あふれる青い地球 どうしてこうなった!? かというと…

昔読んだ小説もしくはマンガに海の底から水面に揺らぐ太陽を見上げるシーンがありました。気が付けば、私たちも大気の底から空を見上げています。 私たちは大気の海の底に沈んでいるのだ  Noi viviamo sommersi nel fondo d'un pelago d'aria ー エヴァンジェリスタ・トリチェリ(伊:1608-1647) 青い空、青い地球… 青く見えるのは大気のせい。とは言え、この惑星も初めから大気に包まれた緑の惑星であったわけではありません。 大気の主

緑 その不思議なるもの

大いなる自然 どこまでも雄大で、見る人の心を奪うような絶景… と同時に、自然には人を寄せ付けない厳しい面があり、灼熱の砂漠や極寒の氷河などには、美しいと感じることはあっても、安らぎを覚えるのは難しいと思います。 一方、緑豊かな森や草原、樹木、草花には心を和まされることが多いのではないでしょうか。 少し大きな話ですが、地球が誕生して生命が生まれ、生物の進化が始まりました。バクテリア等の微生物が現れ、やがてその中から光合成をおこなう生物が発生します。 葉緑素を備えた彼らが繁殖