40歳を過ぎたら自分の顔に責任を持て
写真の整理をしていたら、30代前半の自分と再会した。
髪をまとめて、和服を着ていた。周りにいる女性たちも同様に和服を着て微笑んでいる。
その頃、私は母の勧めで茶道を習っていた。
気が進まなかったものの、いつか時代小説を書きたいと思った時に肥やしになるかもしれぬと考えて始めていたのである。
私は興味のないことが覚えられない。
なかなか所作が覚えられない私を、先生は困惑の目で見ていた。
性に合わないまま茶道を続け、ついには先生とケンカをした。
その後、ほかの生徒さんから意地悪メールが送られたことで私の茶道生活は終わった。
写真のなかにいるピンクや青の和服を着た私。
若奥様然とした女性らしさにあふれている。
私はこの頃の自分が好きではない。
何だか身も心も過剰に女装をしているような気がするのだ。
こういうところが、姉に「女の姿をしたオカマ」と言われる由縁なのかもしれない。
今の私はショートヘアでワンピースを好み、人に囲まれることをできるだけ避けている。
あの頃より快適だ。
中年になり体重は増えたが、表情は今のほうが好きだ。
ちなみに、時代小説は未だに書いていない。