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Photo by
miy110hanakura
詩 水の鏡
星は言いました
いつも誰かを照らしてばかり
誰も私を照らしてくれないと
ある日の夜
星は水の鏡が同じくらい自分を照らしてくれていることに気づきました
嬉しくて
星は水の鏡を愛するようになりました
星は身を削りながら発光し続けました
水の鏡に星のかけらが降り注がれます
星のかけらは沈まず水面でただ踊りました
その光を受けて
星は水の鏡から愛されていると感じていました
やがて
星は小さな光しか放てなくなりました
水の鏡も寂しく光を揺蕩わせるだけ
星は
力尽きて夜空から落ちました
突然のことに
星は怖くて目を閉じていました
流れ落ちる様を見た人たちが
口々に言います
きれいね
本当にきれいね
星は目を開けささやかに微笑みました
目の前には水の鏡
間近で見る恋人の温かい笑顔
星は迷わず飛び込みました
ふたりがそれからどうなったかは
誰も知りません